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東京商工リサーチによると、2019年の宿泊業の倒産件数は前年比3.8%減の75件で、2000年以降の20年間で過去最少の件数となった。
ただし、負債総額は56.1%増の1261億円2700万円となり、2年ぶりに前年を上回った。負債総額が1000億円を超えたのは8年ぶりのこと。2019年は、エメラルドグリーンクラブ(負債額450億円)、AWH(旧淡島ホテル・同400億円)の負債額400億円以上の倒産が2件発生したことで、負債総額が上昇した。
倒産形態は破産が10.8%増の51件で、原因別では販売不振が13.9%増の49件。いずれも全体の約7割を占めた。特に、販売不振の構成比は前年より10.2ポイントの増加となった。
2019年の宿泊業の倒産傾向について、東京商工リサーチでは大型倒産が全体の負債総額を押し上げた一方、1000万円以上5000万円未満の倒産が16件と前年の1.7倍に増えており、2極化の傾向があると指摘。インバウンド需要の追い風を受けながらも、小・零細事業者を中心に厳しい業況が続きそうだとしている。
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なお、2019年12月の倒産件数は5件で、前年より2件増加。負債総額は431億3500万円となった。倒産件数は4か月連続、負債総額は3か月連続で、前年をうわ回る推移となっている。