観光における気候変動対策「グラスゴー宣言」が、英グラスゴーで開催された「第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)」で正式に立ち上げられ、観光に携わる民間企業や組織、政府など310の関係団体が署名を行った。
グラスゴー宣言の署名に合わせて開催されたパルネディスカッションで、国連世界観光機関(UNWTO)のスラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長は、「多くの民間企業が気候変動対策への取り組みを進めているが、さらに意味のある方法でこの行動を加速させていくためには、より業界横断的なアプローチが求められている。すべての観光エコシステムに参加する組織が協調していくことが重要」と発言。グラスゴー宣言は、気候変動対策を進めていく意志を実務的な行動に結びつけるものと位置付けた。
グラスゴー宣言では、世界の旅行需要がパンデミックから回復しつつあるなか、「移動の安全」「シームレスな旅行」「サステナビリティ」「デジタル化」に注力し、観光産業において、2030年までに排出ガスを半減、さらに遅くとも2050年までに実質ゼロ達成を目指す。
国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のオバイス・サルマド事務局次長は、「気候変動対策のカギは、一致団結した努力と協調。組織の大小に関わらず、すべてのステークホルダーが、この宣言に関わっていくことが求められている」と話したうえで、「対策は、次世代や環境保護のためだけでなく、ビジネスの持続性にとっても重要。ビジネスが失敗すれば、コミュニティーが崩壊してしまう。誰も取り残されないように、一致協力して、サステナブルな社会への変革を進めていくべき」と協調した。また、「これは第一歩にすぎない」として、関係組織に宣言への参加を呼びかけた。
今回、グラスゴー宣言には、アコー、スカイスキャナー、ダラス・フォートワース空港などの民間企業、パナマ、バルバトス、ミクロネシア連邦などの政府、ビジット・スコットランド、オランダ政府観光局、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)などさまざまな観光関連組織が署名を行った。