公正取引委員会(公取委)は2022年3月16日、ブッキング・ドットコム(Booking.com B.V.)が提出した確約計画(独禁法違反の疑いのある行為を排除するための改善計画)を認定したと発表した。公取委は2021年12月17日に、同社に対して確約手続を通知していた。
問題となっていたのは、ブッキング・ドットコムが同社宿泊予約サイトに掲載する日本の宿泊施設との契約で、他の宿泊予約サイトなどの販売経路と同等以下とする条件を定め、これを要請していたこと。いわゆる「最低価格の保証」だ。
これにより、ある宿泊予約サイトが自社努力で宿泊料金を割引して掲載した際、当該宿泊施設から、割引料金と同等以下の宿泊料金をブッキング・ドットコムにも掲載する必要があることを理由に、掲載中止を求められた。
また、別の宿泊予約サイトが宿泊施設に対し、集客促進を目的に期間限定の割引企画を提案したところ、同様の理由で辞退された例もあったなど、他の競合他社の事業活動や事業者間の競争に影響が出ていた。
ブッキング・ドットコムは確約計画で、他の販売経路との同等性を求める行為を取りやめることを明記。宿泊施設に対し、掲載順位を決定する仕組みを利用して条件を遵守させる行為も取りやめ、これらの措置を今後3年間実施するとした。このほか、同社や日本法人のBooking.com Japanの従業員への周知徹底や、宿泊施設との取引に関する独禁法の遵守についての行動指針の作成などの実施も明記。これらの履行状況を今後3年間、毎年、公取委に報告するとした。
公取委は今回、宿泊施設の自社販売経路(宿泊施設の自社サイトなど)に対する同等性の条件については、宿泊施設も遵守していない現状を踏まえ、確約手続の対象に含めなかった。ただし、今後も事業者間の競争に与える影響を注視し、問題が認められる場合には厳正に対処するとしている。
なお、公取委は2019年4月に、独占禁止法違反の疑いで楽天(楽天トラベル)と、ブッキング・ドットコム、エクスペディアの両日本法人に、独禁法違反の疑いで立ち入り調査を実施。楽天は2019年中に確約計画の認定を受け、調査が終了していた。