公正取引委員会はこのほど、オンラインモール運営事業者の取引実態調査の中間結果を発表した。これは、独占禁止法や競争政策上の考え方の整理に役立てる目的で、2019年1月に開始した「デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査」の一環。調査では、Amazon(アマゾン)、Yahoo!(ヤフー)ショッピング、楽天市場を中心に、オンラインモールでの取引状況をアンケート形式で分析している。
それによると、出品者が「一方的にオンラインモールの規約が変更された」経験をした割合は、アマゾンが72.8%、ヤフーが49.9%、楽天市場が93.2%。そのうち、「規約の変更が出品者にとって不利益な内容だった」とする回答は、アマゾンが69.3%、ヤフーが37.7%、楽天市場が93.5%となった。
一方、出店・出品がオンラインモール運営事業者から承認されなかったことがあった事業者は、アマゾンが14.8%、ヤフーショッピングが9.7%、楽天市場が8.9%。承認されなかった理由の説明があった割合は、アマゾンが27.9%、ヤフーが10.7%、楽天市場が21.7%で、説明がなかった回答が多数派を占めた。その理由について納得できたとの回答がヤフーが最も多く(66.7%)。アマゾンは25.0%、楽天市場は23.1%にとどまった。
オンラインモール事業者によって出品が停止または削除された経験をみると、アマゾンが33.7%、ヤフーが6.7%、楽天市場が8.9%該当。問題を解決したことで最終的に出品を再開できたケースは、アマゾンで47.4%、ヤフーで38.5%、楽天市場で55.0%だった。
楽天とアマゾンは「表示位置を決定するアルゴリズムが不透明」が半数以上に
モール上での表示に関する設問では、「表示位置や表示方法を決定する基準または検索結果の順位を決定する基準(検索アルゴリズム)が不透明」との回答が最も多かったのは楽天市場(68.7%)。次いでアマゾン(56.6%)、ヤフー(44.7%)。また、「有利な表示位置・方法または優位な検索結果で表示させるためにはオンラインモール運営者のサービスを利用するなどオンラインモール運営事業者に費用を支払う必要がある」との回答は楽天市場が最多(56.7%)。ヤフーは47.7%、アマゾンは38.4%に至った。
この調査はオンラインモールの利用経験がある消費者や利用事業者811名を対象にしたもの。調査期間は2019年2月27日から3月26日まで。
なお、公正取引委員会では同調査の一環として、オンラインモールを含む「デジタルプラットフォーマー」の問題行為に関する情報提供窓口を設置している。