カナダ政府は、ワクチン接種を完了した旅行者について、入国時の新型コロナウイルス検査要件を2022年4月1日から解除すると発表した。現在は、ワクチン接種完了者でもカナダに入国するためには、陰性証明の提示が求められており、特にカナダと米国とのビジネスや観光の往来に支障が出ていると指摘されている。
ビジネス関係では、例えば、ニューヨーク州プラッツバーグのノースカントリー商工会議所によると、この地域にはケベック州を拠点とする企業が100社以上進出し、現地で15%の雇用を創出しており、自由な往来が過去2年間中断されていたことから、地元経済にも大きな影響が出ているという。
観光面では、カナダ観光産業協会のベス・ポッターCEOによると、カナダの観光産業は2019年、1050億カナダドル(約10兆円)を生み出し、約200万人の雇用を創出してきた。しかし、過去2年間で観光収入は半減し、40万人以上の雇用が失われた。特に最大の国際市場である米国からの旅行者の減少は、観光業界に大きなダメージを与えてきた。
カナダ政府の決定について、カナダ商工会議所上級副社長のマーク・アグニュー氏は、「カナダで開催される会議や出張が増え、地元経済にもとっても大きなこと」と歓迎している。
入国に際しては、ワクチン接種歴を「ArriveCan」アプリにアップロードする必要がある。また、到着した海外旅行者に対しては抜き打ちで検査を実施することがあるという。ワクチン未接種者は、陰性証明あるいは感染証明を提出する必要があり、到着後は14日間の隔離と8日目での検査が求められる。
※カナダドル円換算は1カナダドル95円でトラベルボイス編集部が算出