国連世界観光機関(UNWTO)は、2022年末までに世界の海外旅行者数はパンデミック前の65%に回復するとの見通しを示した。2022年1月~9月の世界の海外旅行者数は、前年同期比133%増の約7億人。2019年比で、2022年1月の月間旅行者数は64%減だったが、9月には27%減にまで回復。2022年の第3四半期だけで、海外旅行者数は約3億4000万人となった。
地域別では欧州が世界をリード。2022年1月~9月の海外旅行者数は約4億7700万人で、世界全体の68%を占め、パンデミック前の81%に回復した。主に欧州域内と米国からの旅行需要が高まった。
アジア太平洋では、前年同期の3倍以上に増加。9月末から10月にかけて日本を含む多くの国で国境が再開した効果が表れた。しかし、中国が依然として国境を閉じているため、2019年比では83%減となっている。
国別で見ると、セルビア、ルーマニア、トルコ、ラトビア、ポルトガル、パキスタン、メキシコ、モロッコ、フランスなどでは、2022年の最初の7~9か月で国際観光収入が大幅に増加。フランスでは9月の観光客の支出が2019年と比較してマイナス8%まで回復した。
航空座席数やホテルの稼働率も大幅に改善。1月~8月の国際線の座席数 (ASK) は2019年同期の62%に回復。世界のホテル稼働率については、2022年1月の43%から9月には66%に上昇した(STR調べ)。
一方で、UNWTOでは、持続的な高インフレやエネルギー価格の高騰などの経済環境は、2022年第4四半期および 2023年にかけて回復ペースを阻害する可能性があるとしている。