エクスペディアは、旅行需要が急速に回復しているにもかかわらず、2023年第1四半期では赤字を計上した。それでも、ウォール街は、2023年通期では堅調に業績を伸ばし、最終的には黒字を計上すると予想している。7月には、エクスペディア(Expedia.com)、ホテルズ・ドットコム(Hotels.com)、バーボ(Vrbo)の3ブランド共通のロイヤルティ・プログラムを開始する予定。AP通信は、同グループの経営について、ピーター・カーンCEOにインタビューした。
カーンCEOは、今後の旅行需要について「マクロ的に需要は堅調に増え、今年の夏は間違いなく忙しい夏になる」と自信を示す。一方で、高騰する旅行価格が旅行意欲を押し下げる懸念があるとも言われているが、カーンCEOは「実際のところ、人々は他よりも旅行を優先している。確かに、旅行は以前に比べていくらか高くなっているが、人々は依然として旅行を恋しく思っており、最もお金を使いたい分野であることに変わりはない」と自信を示す。
また、第1四半期の赤字については、「珍しいことではない」とコメント。例年、第1四半期は、多くの予約が発生し、マーケティングに多額の費用が発生する一方、実際に旅行する人は少なく、それほど多くの収益を得られないため、ミスマッチが起こると説明した。
7月に予定されている新しいロイヤルティプログラム「One Key」についても言及。「顧客体験という点だけでも、これは長期的に大きな変革になる。 バーボのユーザーもOne Keyポイントを使って航空券を購入したり、ホテルやクルーズに宿泊したりできるようになる」とメリットを強調。そのうえで、ロイヤルティ・プログラムを共通化することで、「顧客にエクスペディアのエコシステムに留まってほしい」と話した。
AP通信は、エアビーアンドビーが「Airbnb Rooms」を立ち上げ、価格重視のルームシェアへの原点回帰を強化しているなかで、バーボの事業の見通しについても質問。それに対して、カーンCEOは「バーボは建物全体あるいはヴィラ全体を中心にビジネス(一棟貸し)を展開し、エアビーのような共有スペース(一般家庭の一室など)への参入はしない」と差別化を強調し、需要傾向に応じて利益は変わってくるとの考えを示した。
このほか、部屋の清掃や家事支援など民泊運営における周辺事業について、カーンCEOは「それはバーボにとってもエアビーにとっても大きな市場になるだろう」と話した。