コンサルティング大手のEY社は、最新の消費者動向調査「第12回 EY Future Consumer Index」を発表した。それによると、世界の消費者の94%が、インフレを乗り切る努力を続けながらも、生活費の高騰を懸念している。35%が「価格」を最大の関心事に挙げており、この割合は前回調査の2022年10月と比較すると10ポイント上昇した。
一方で、「環境優先」の消費者セグメントが減少。前回の25%から16%に下がった。EYでは、消費者は「価格」を優先させる姿勢に転向しているため、サステナビリティの優先度合いが下がっていると分析している。
また、「健康優先」の消費者セグメントが、2022年10月から7ポイント増加し24%となり、「価格優先」に次ぐ2番目に大きな消費者セグメントとなった。EYは、消費者は現在、短期的なライフスタイル変更に集中しており、社会全体で取り組む課題よりも個人的なニーズを優先させていると指摘した。
ブランドよりも価格を優先
また、今回の調査に回答した消費者の92%が自国の経済に懸念を抱いており、39%が今後半年で状況は悪化すると予想。衣服の支出を減らす計画をしている人が3分の1以上(36%)、テイクアウト料理を買う回数を減らす予定の人が44%、支出は生活必需品に留める予定の人がほぼ半数(49%)となった。
ほとんどの消費者にとって、ブランドはもはやステータスを表現する唯一の手段ではなくなっており、世界中の消費者の62%が、最新のファッショントレンドを追いかける必要はないと感じていることもわかった。さらに、多くの消費者(67%)が、ものを買い替えるより修理して使うことを選択すると回答した。
生活でのテクノロジー利用が急増
今回の調査では、テクノロジーは消費者生活にとって欠かせないものになっていることもわかった。消費者のほぼ半数(46%)が、過去3カ月以内にネットスーパー・食材宅配サービスを利用。これは2022年6月から12ポイントの上昇となった。
また、消費者の53%が動画プラットフォームを使って友人や家族と交流し、62%が音楽ストリーミングサービスを利用。2022年6月からそれぞれ14%と17%の大きな増加となった。さらに、エマージングテクノロジーの利用も急速に伸びており、マルチユーザープラットフォームを利用している世界の消費者の数は、2022年6月から2倍以上増加。消費者の66%が、割安な選択肢の利用と引き換えに、自身のデータを共有することに前向きだと回答した。
日本の「価格優先」は世界平均以上
日本でも、「価格優先」の消費者の割合が引き続き高く、その割合は世界平均の35%を上回る49%。一方で、支出を抑えるために、これまで購入していた消費財ブランドを替えると答えた消費者の割合は12%と、世界平均35%を下回った。
テクノロジーに関しては、日本の消費者の特徴として、特に、ID、パスワードの漏えいなどのセキュリティ面への不安が高い一方で、世界の消費者と同様に、お買い得情報などの有益な価格情報が得られるのであれば、個人情報の共有もいとわないといった傾向が見られたとしている。