タイ国政府観光庁、2024年の日本人客数目標を100万人に引き上げ、デジタルノマド誘致など積極的に

タイ国政府観光庁(TAT)は、2024年の訪タイ日本人客数の目標を当初の87万人から100万人に引き上げる。副総裁のルジラット・チャッチャラームキット氏と東京事務所長のカジョンデート・アビチャートラクン氏が東京・代々木公園で開催したタイフェスティバルでのプレスブリーフィングで明らかにした。

世界市場に比べ日本の回復は遅れているが、デジタルノマドをはじめとした個人旅行が伸びていることもあり、「悲観的にはとらえていない」(カジョンデート氏)と強調。タイのソフトパワーを引き出すプロモーションに力を入れていく。

今年は2023年比で大きな伸び、目標を上方修正

観光立国として知られ、コロナ禍でもいち早く観光再開に向けた施策を積極的に推進してきたタイ。こうしたなか、日本市場は回復が遅れ、2023年の訪タイ日本人客数は約80万人で、2019年の約180万人を大きく下回った。

しかしながら、「確かに日本市場は円安、景気の影響で世界の他市場に比べ回復のスピードが遅れているが、期待は変わらない」(カジョンデート氏)と表明。理由として、航空便が復調傾向にあること、コロナ禍以降、テレワークが進みデジタルノマドをはじめとした自由に長期間旅行できる個人旅行者がツアーに比べ伸びていることを挙げた。また、タイから来日したTAT副総裁のルジラット氏も「円安とはいえ、他市場と物価を比べるとタイの競争力は高く、海外旅行に行きたいという意向が高まっている日本の人々のニーズをとらえることができるだろう」と話した。

実際、2024年1~4月累計の訪タイ日本人客数は約33万人で、2023年同期比に比べ大きく上昇。当初の予想を上回ったことから、年間目標を87万人から100万人に上方修正した。

「5つのF」ソフトパワーでプロモーション強化

こうしたなか、力を入れているのが「5つのF」だ。ルジラット氏は「これまでのように単に観光地、観光アクティビティを紹介するのではなく、タイの持っているコンテンツの力をより訴求したい」と語った。

具体的に「5つのF」とは、フード、ファッション、フィルム、フェスティバル、ファイトのこと。たとえば、タイフェスティバル東京では、すでに人気の各種タイ料理の出店やタイの格闘技であるムエタイの披露はもちろん、タイのブランドによるファッションショー、映画やテレビスターの登場など、新たなコンテンツが会場をにぎわせた。さらに、「FAITH」(信念)をキーワードにタイ各地のパワースポットの訴求にも力を入れる。マラソンをはじめ国際的なスポーツイベントの開催はほぼ順調に開催されており、エンターテイメントとともに日本人客の誘致を図る。

日本人の回復に期待を寄せる一因でもあるデジタルノマドの誘致に対し、タイは積極的だ。デジタルノマド専門コミュニティサイトでも、バンコク、チェンマイは常に人気上位に位置している。

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