米国で広がる支出格差、観光客や富裕層の消費は活発、旅行回数は2019年レベルを上回る予測も

米国の人気観光地、海辺のボードウォーク(遊歩道)や桟橋に軒を連ねる店舗の売り上げが好調だ。観光客数はすでにパンデミック前の水準に戻っている。ただ、富裕層が自由奔放にお金を使う一方で、低所得者層は財布の紐を締め直しているようだ。

サウスカロライナ州マートルビーチのボードウォーク&プロムナードにある観覧車スカイホイールでは、2024年のチケット販売が2019年の水準を上回っている。21ドル(約3090円)の一般チケットは、事前に計画を立ててオンラインで予約する人が多い一方で、35ドル(約5150円)のサンライズチケットや109ドル(約1万6000円)のVIPチケットの高価なチケットを求める人も増えているという。

シカゴのミシガン湖に突き出たネイビーピアでユニークなTシャツを販売する衣料品販売店のオーナーは、客足も売上も昨年を上回っているが、量より質を求める傾向が強まっていると見ている。「なんでも買うのではなく、購入するものについて少し意識的になり始めている」と話す。

また、ネイビーピアのメキシカンレストランの売上も前年比30%増。観光客は、値上がりしたタコスや40ドル(約5880円)するメイン料理に満足している。オーナーによると、この傾向はシカゴ住民が集まる地元のレストランでは見られないという。「観光客は大金を使うことを覚悟しているが、地元の常連客はよりお得なものを求めている。彼らは価格に非常に敏感だ」と話す。

全米旅行産業協会(U.S. Travel Association)によると、2024年の米国人の旅行回数はパンデミック以降、初めて2019年の数字を上回ると予想されている。海外旅行よりも国内旅行の回復が早く、2024年の一般的な旅行費と交通費を含む国内旅行支出は約9756億ドル(約143兆円)となり、2019年の98%になる見込み。一方、海外旅行の支出は2019年比83%の約1539億円(約22.6兆円)。

大手企業と同様に中小企業も、裕福な米国人と低所得者層では、支出に格差が出ていると見ている。賃金の上昇が鈍化している中、インフレが引き続き消費者の重荷になっているようだ。

※ドル円換算は1ドル147円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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