国内各地で44のホテルや旅館を展開するホテルマネージメントインターナショナル(HMI)と、世界に6300以上のホテルを展開する「IHGホテルズ&リゾーツ」は、戦略的リブランド提携に合意した。HMIが運営する高知市、知立市、浜松市の「クラウンパレス」ブランドの計3ホテルを、「ANAクラウンプラザホテル」にリブランドする。
発表の記者会見でHMI代表取締役社長の比良竜虎氏は、地方都市の3ホテルが世界400軒超・国内20軒を展開するクラウンプラザホテルのネットワークに加わることで、各ホテルの新規の訪日外国人客数が現行の約3割増を見込む見解を示し、「地方都市の訪日観光の拡大と経済成長に貢献できる」とアピールした。
一方、IHGホテルズにとっては、各都市での初の展開となる。IHG・ANA・ホテルズグループジャパンCEO兼IHGホテルズ&リゾーツ日本&マイクロネシア マネージングディレクターのアビジェイ・サンディリア氏は、「様々なホテルのリブランドを成功させてきた」と話し、同社の知名度を生かした価値提供に自信を示した。
IHGホテルズでは日本を優先度の高い市場とみており、現在、8ブランド計47軒のホテルを展開。15軒の開業を控える。東京のサポートセンターでは80人以上の人員を確保し、日本国内のホテルを支援する体制を整えているという。
リブランドするホテルは「クラウンパレス新阪急高知」「ホテルクラウンパレス知立」「ホテルクラウンパレス浜松」。時期は2026年上半期の予定。
今後も外資系ブランドと提携を拡大
HMIは、2024年4月にもマリオット・インターナショナルと提携しており、大手グローバルホテルとのパートナーシップによるリブランドを拡大している。その理由について、比良氏は大手グローバルホテルが有する顧客基盤(ロイヤリティプログラム)に加え、「グローバル化の時代、グローバルブランドに対する需要が非常に大きい。グローバルホテルはシステム関連に大きな投資をしており、予約などオンラインサービスで優位性がある」と説明。今後、さらに10軒程度、外資系ブランドとの提携を予定しているという。
その際は、IHGホテルズやマリオットはもちろん、新たなホテルグループとのパートナーシップの可能性も示唆。「ホテルが建つ地域の特性と合うホテルブランドと組んでいく」(比良氏)という考えだ。
今回のIHGホテルズとの提携において比良氏は、世界一の人口を有するインドからの誘客強化にも期待を示した。IHGホテルズは、グローバルホテルが少ないインドに注力しており、特に「クラウンプラザ」のブランドは50軒以上展開している。比良氏は、特に浜松市や知立市の周辺はインドに進出する日本の自動車産業の関連企業が多いとし、「インドの代理店が家族を連れて訪日する機会もある」と、MICEやブレジャーの需要を獲得できる可能性にも言及した。