日本バス協会は、今後10年を見据えた業界の取り組み方針をまとめた「バス再興10年ビジョン」を策定した。バス産業が地域公共交通の要として変わらない役割を担いつつ、時代の変化に即した内部変革を遂げる必要があるとの認識のもとにまとめたもの。
少子高齢化、人口減少、子育て支援、交通空白地域への対応といった顕在化する課題に対応し、持続的にサービスを提供していくため、安全を第一として利用者や地域とともに一層の利用拡大や観光を含めた新たな需要創出に取り組む。
また、デジタル技術を活用し、まちづくりや他輸送とも連携しながら、バス事業者が地域における総合的な交通サービス提供主体の中核となることも掲げた。
具体的には、先端技術の活用などで更なる安全への取組みの強化、不適格事業者の解消などを通じて安心安全なバスを実現していく。
また、適時適切な運賃改定による事業基盤を強化、まちづくりや他輸送と連携した利便性向上、観光バス・乗合バスの新たな需要創出などを通じて地域総合交通産業として維持発展していく。
さらに、運転士・整備士などの待遇改善や若年層や女性、外国人の採用の促進などで人材確保と働き方改革を進めていく。
次世代バス輸送へ、2030年には自動運転を路線バスに
ビジョンでは次世代バス輸送への転換にも言及。国産EVバスのほか、FCVバスなどクリーンエネルギーバスの供給を拡充するとともに、変電・充電設備などインフラを充実させることで環境への貢献も進めていく。
自動運転については、実験段階から本格運行へ進め、2030年には路線バスでの自動運転を普及させていくことも盛り込んだ。
このほか、キャッシュレスを推進し、2030年には「運賃箱の無いバス」の本格的な普及によって、運転士の負担軽減と事業者のコスト軽減を進めていく。