サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は、2025年1月20日に記者会見を開き、2025年の春季生活闘争(春闘)で、6%(1万9910円)の賃金改善に取り組む方針を発表した。人事賃金制度のある加盟組合は、定期昇給(定昇)分で2%、実質的な賃金改善(ベースアップ)で4%とし、中期的な賃金目標「35歳年収550万円」の実現を目指していく。
2024年の春闘では、ベアを含む5%の賃金改善を掲げ、過去最高水準の結果となった。賃金改善率は5.28%(1万5469円)、ベア部分は3.37%(9714円)だった(いずれも算出可能な加盟組合26組合の平均)。
この成果について、会長の櫻田あすか氏は「転換点」と強調。2025春闘は「我々の産業が世の中の流れに乗っていけるか、産業の地位を向上させるための正念場」と位置づけ、人材不足が叫ばれるなか「産業格差を埋めなければ、選ばれる産業にならない。魅力ある産業への実現に向けて、引き続き取り組んでいく」と力を込めた。
また、櫻田氏は「物価上昇を上回る賃金改善が必要」とも述べ、「付加価値を生み出しているのは、働く人たち。その生活がより向上していくよう、人への投資を起点に好循環を作り出していくことが重要」と訴えた。
一時金では、年間4.0カ月を意識した水準向上に取り組む。また、契約社員やパートタイマーの待遇改善も、正規労働者と同様の考え方に基づき、取り組むこととした。
総合的な労働条件の向上を
さらにサービス連合では、労働時間の短縮をはじめ、カスハラをはじめとするハラスメント対策、両立支援・ジェンダー平等、厚生労働省が推進する勤務間インターバル制度の取り組みなど、労働条件・環境、働き方の改善にも注力。2025年におこなわれる改正育児・介護休業法の施行や、60歳以降の雇用と労働条件に関連する法改正等に対応した取り組みもおこなっていく。
会長代理で、労働条件関係を担当する宇高誠氏は「他産業との人材確保競争を意識し、誰もが働きたい、働き続けたいと思える労働条件の確立を目指す、総合労働条件闘争としていく」と意気込みを見せた。
なお、現在の組合数は4万3人。コロナ前は4万8000人規模だった。櫻田氏は「労働組合があるほうが、賃金改善の結果が良いという厚労省の調査結果もある。組織拡大に取り組むとともに、集団的労使関係の傘の下にない人たちも守っていけるような環境づくりにも努めたい」と話した。
2024年冬賞与は平均1.43カ月、年間一時金は3.10カ月に
サービス連合によると、2024年秋闘で12月16日までに合意・妥結した集計可能な58組合の冬期一時金支給月数は、単純平均で1.43カ月(2023年:1.66カ月)となった。業種別にみると、ホテル・レジャー(39組合)は平均1.36カ月(前年:1.48カ月)、ツーリズム・航空貨物(19組合)は平均1.59カ月(前年:1.94カ月)だった。
2024年春闘で合意、または業績連動制度などで水準を確定した加盟組合を加えた、全体の冬期一時金(計80組合)では、コロナ前を超えた前年よりもさらに改善した。全体平均は、1.57カ月(前年:1.55カ月)。ホテル・レジャー(48組合)が1.47カ月(前年:1.37カ月)、ツーリズム・航空貨物(32組合)が1.72カ月(前年:1.78カ月)だった。
夏冬の年間一時金も、80組合の単純平均で3.10カ月(前年:3.01カ月)と増加。ホテル・レジャー(48組合)の平均は2.81カ月(前年:2.40カ月)、ツーリズム・航空貨物(32組合)の平均は3.52カ月(前年3.81カ月)だった。
なお、組合数は2024年と前年で異なる。