世界的に「サンゴの白化現象」が拡大、終息の見込みたたず、観光産業にも大きな影響

国際サンゴ礁イニシアチブ(ICRI)は、サンゴの白化現象が世界的に拡大し、海洋サンゴ礁の84%が影響を受けていることを明らかにした。これは記録に残るなかでは最悪の規模だ。サンゴの危機は、海洋生態系だけでなく、水産業や観光産業にも大きな影響を与える。

ICRIによると、1998年以降で4度目の世界的な白化現象。2014年から2017年にかけてサンゴ礁の約3分の2を襲った白化現象を上回ったという。海洋温暖化が原因とされている現在の危機がいつ終息するかは不明だ。

2024年は地球史上最も暑い年となり、その熱は海にも流れ込んだ。極地から離れた海洋の年間平均海面水温は、記録的な摂氏20.87度に達した。

サンゴ礁は高い生物多様性を支えていることから、「海の熱帯雨林」と呼ばれることもある。全海洋生物の約25%がサンゴ礁の中、上、そして周辺で生息している。

そのような中、サンゴの保護と再生に向けた取り組みが進められている。あるオランダの研究所では、サンゴの破片を動物園で増殖させ、将来、必要に応じて野生のサンゴ礁に再繁殖させるプロジェクトが進められている。フロリダ沖を含む他のプロジェクトでは、高温によって絶滅の危機に瀕したサンゴを救出し、健康な状態に戻してから海に戻す取り組みがおこなわれている。

しかし、科学者たちは、二酸化炭素やメタンなど、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を削減することが不可欠だと強調する。

ICRI事務局長で、米国海洋大気庁(NOAA)の元サンゴ監視責任者であるマーク・イーキン氏は、「サンゴ礁を守る最善の方法は、気候変動の根本原因に取り組むこと」と主張する。しかし、米国のトランプ大統領は、経済成長を目的に化石燃料の推進とクリーンエネルギー計画の縮小に積極的に取り組んでいる。

イーキン氏は「環境保護政策を止めれば、壊滅的な結果をもたらすだろう」と警鐘を鳴らしている。

※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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