観光立国実現に向けたアクション・プログラムのなかで、「外国人旅行者の受入の改善」については最も多くの施策が盛り込まれている。出入国手続きの改善から国内の移動および滞在のしやすさ、魅力ある観光地域づくりなど多岐にわたる。訪日旅行での印象は、次回の訪日意欲や周囲への訪日の推奨に「極めて重要」としており、訪日旅行者に満足してもらえる環境整備などの取組みを強化する。
例えば出入国手続きでは、クルーズでの出入国では大型クルーズ船の海外臨船審査などの新方策を検討するほか、空港では国際会議参加者などのVIPの出入国の迅速化のためのファーストレーンの設置を目指す。国際連携の上で出入国管理上のリスクが低い訪問者を特定し、自動化ゲートの対象とするなどの新しい枠組みを構築することも検討していく。
移動しやすい環境の整備、および滞在しやすい環境の整備では、首都圏空港と都心への直結線の検討など交通機関による環境整備のほか、観光地や道路、公共交通機関での多言語対応の改善強化も実施。スマートフォンやタブレット端末での情報提供ができる取り組みも行なう。宅配便運送サービスを利用した「手ぶら観光」の促進についても、年内の早期に検討会を開始する。
さらに、観光産業の外国人旅行者対応の向上として、訪日ツアーオペレーター認証制度の導入・定着のほか、外国人が品質を信頼できる日本発のグローバルチェーンの育成を目的に、意欲ある宿泊事業者が積極的に海外展開することを目指す。また、観光案内機能の強化や、ムスリム旅行者の受入環境の整備などの推進。無料の公衆無線LANの自主的な整備促進や海外クレジットカードで現金が引き出せるATM設置の促進といった利便性の向上、免税制度のあり方も検討していく。
このほか、魅力ある観光地域づくりでは、ニューツーリズムの創出や各種インフラプロジェクトと連動した観光振興、地域の観光ポテンシャルの最大化、被災地における旅行需要の喚起などを行なう。