JTB総合研究所が発表した「国内線LCC利用者の意識と行動調査」によると、直近の旅行で国内線LCCを選択した理由は「他の手段よりも安いから」が83.5%で、2位以下に大差をつけて最も高かった。60歳以上のシニアを筆頭に50代、40代と年齢が高い方が安さを理由に挙げている。そのほか、「LCCに乗ってみたかったから」(18.2%)、「他の手段より早く目的地へ到着できるから」(17.6%)の回答が多い。
LCCに対する評価についても「飲み物・食べ物を頼まなければ安く済むのは良い」「預け入れる手荷物がなければ料金が安く済むのは良い」がそれぞれ75.6%と高く、自分の選択次第で料金が安くなる仕組みが評価されている。自由回答でも「思ったより良かった」など、料金に見合うサービスであったと感じている人が多いようだ。
一方、マイナス評価は「出発ゲートが遠い」(74.4%)、「前の座席との空間が狭い」(70.9%)。自由コメントでは「遅れがひどかった」「遅れた際の連絡対応が悪い」などの遅延に関する内容が多く、「二度と利用しない」などのコメントも続いており、遅延は今後の利用意向に影響する事項になるようだ。
LCCとその他の航空会社(JAL、ANA以外のスターフライヤーやスカイマーク、エア・ドゥ、ソラシド・エアなど)の違いでは、59.5%が「特に違いは感じない」と回答。「違いを感じる」(30.9%)人のコメントでは、LCCの安さやシンプルさを評価する一方、その他の航空会社にはサービスやスケジュール、トラブル対応の安心感を評価していた。
なお、JTB総合研究所ではLCC利用者の日常生活や旅行に対する意識・行動に関する回答をもとに分析を行ない、利用者のタイプを5つに分類。最も多かったのは、旅行意欲はそれほど高くないが、人と繋がっていたいという意向が強い「みんなにあわせる同調型タイプ」(41%)だった。旅行はパッケージツアーを好み、流行は押さえておくタイプで、LCCに対しては「押さえておくべき流行の一つ」ととらえているという。
JTB総合研究所では、LCC利用者はパッケージツアーを利用しないFIT志向が強いイメージがあるが、実態としてはLCCを押さえつつ、できればパッケージツアーで簡単に行きたい志向の人が多いという調査結果を受け、今後はLCCを利用するパッケージツアーを訴求することも、若い世代の旅行機会の増加につながる方法であるとの考えを示した。
同調査は関東、関西の18歳以上の居住者を対象に実施。スクリーニング調査は4万3918人回収。本調査は2012年3月以降に旅行で国内線LCCを利用した949人を対象に、2013年6月28日~7月3日に実施した。
若年層と関西で浸透度高く、旅行機会も増加 ー国内線LCC調査(1)