キャセイパシフィック航空(CX)の全額出資旅行会社であるキャセイホリデージャパンは、今月、通年でツアー商品の料金を設定・販売をすることを発表した。年末年始や春休みなどの繁忙期の旅行予約を通年可能とすることで早期の旅行者取込みが可能になる。キャセイホリデージャパン代表取締役のヘレラ純代氏に、その狙いを聞いた。
ヘレラ氏によると、今回の決定はリピーターが多い同社顧客のオンライン予約のトレンドにあわせたものだという。同氏はキャセイパシフィック航空のオンラインセールス部部長も兼任しており、近年のオンライン予約に変化があるとの認識だ。
同社顧客はリピーターが多く、レジャー予約で「先の予約が多い」という。特に、繁忙期の年末年始やゴールデンウィークなどの早期予約の傾向は顕著で、中でもビジネスクラスPEXの人気が高い。ヘレラ氏は「運賃を出した順に売れていく」として、旅慣れた消費者が繁忙期の航空券を上手に確保している状況を話した。こうした旅行者の動向に対応したのが航空券にホテルと送迎をパッケージした完全フリープランの通年販売化だ。
通年販売の商品は、現在のところ香港と台北行きのツアー5種類。キャセイホリデーのホテルやレストランなどの仕入れ力を駆使した現地ホテルや体験素材と航空券を組み合わせた商品は価格面でのメリットも高い。旅行者が個別手配をする手間を省くパッケージ商品を通年で提供することで、顧客満足度をあげたい考えだ。
ただし、ヘレラ氏は通年販売のデメリットも指摘。これは、商品や料金を先出しすることで、他社に価格で追われることだ。こうした際、オンラインの追加商品などで対応することがあっても緊急値下げなどは「やりたくない」という。デメリットも視野にいれながら、リピーターの多い同社顧客の需要にこたえる。
▼航空券予約のオンライン予約が堅調な伸び
日本市場にあわせた顧客対応とオンライン施策を実践
キャセイパシフィック航空の航空券オンライン予約は、毎月前年比で二ケタの伸びを見せる急成長をみせている。ヘレラ氏によると、「特にビジネスクラスやプレミアムエコノミークラスで顕著」だという。
こうしたオンライン予約のトレンドにあわせて、同社はウェブサイトの改善を重ねている。文字を大きくしたり、予約動線を改善するなど、日本人の目線で旅行者が使いやすいサイトを目指している。また、2014年2月頃からは、旅行者が24時間予約を保持し、最終確認後に購入するサービスを開始。航空券購入画面で「後で支払う」を選択すると、席を確約し、運賃額を保留したまま旅行者が購入の最終判断に猶予の時間が与えられるもの。特定のプロモーションやオファーには適用されず、諸税、諸費用、燃油サーチャージが変動する可能性があるものの、旅行者にはメリットが高い。
ヘレラ氏は、今後もこうした日本市場にあわせた改善を進めることで、オンライン販売による効率と旅行者の利便性を求めたい意欲を示した。
(トラベルボイス編集部:山岡薫)