ドイツ観光局の新たな日本局長として2014年6月に着任したレイカート・ケッテルハーテ氏(写真右)。アジア・オーストラリア地区統括局長として、今後は日本を含むアジア地域からドイツへの旅行者を増やす責任者として活動をしていく。就任して約3か月、活動の具体策を構築中の同氏に今後の日本市場へでの活動方針を聞いた。同氏が日本市場で目指すのは、堅実で現実的な路線だ。
この数年、ヨーロッパへの日本人旅行者は成熟期を迎えている。周辺諸国と同様に、ドイツへの日本人宿泊数は微増と微減の繰返し。こうした中、ケッテルハーテ氏は「(日本からドイツは)航空機が必要」という地理的な問題を前提に、今後の戦略を策定しているところだという。
ドイツ観光局の調査によると、ドイツを訪れる日本人渡航者の目的は約2割がビジネス、約8割がレジャー。この点で、同氏は大きな市場であるレジャーを優先して伸ばしていく方針だ。MICEを含めたビジネス渡航をケッテルハーテ氏は「必然であるところもある」とみている。こうしたことから、ビジネス分野での渡航者については、観光局のパートナー企業が要望するサポートはするものの、あくまでレジャーを本流として注力していくという。
そして、ケッテルハーテ氏はレジャー市場を伸ばしていく重要なポイントを「新たなマーケットを取りこむこと」と語る。従来メインとなってきたシニア層は維持しつつも、若い世代に「(ドイツを)観光デスティネーションとして認識してもらいたい」考えだ。
若い世代の取込みで欠かせないのは、ソーシャルメディアなどデジタルでの情報発信だ。一方、ウェブ展開で必要とされるキャンペーンなどでは大きな予算が必要となる。この点について、同氏は大型予算の投入することに頼らず、限られた予算と人的リソースを有効活用しながら「現実的なベストを探していく」方針だという。
こうした活動方針のなかで、ケッテルハーテ氏が目指すのは中期的な日本人旅行者の増加。現在の市場環境や日本人旅行者の成熟度、地理的な要素を鑑みれば「現実的に年間1~2%伸ばしていければ、それは成功だろう。(日本市場は)安定した微増が望ましい」と語る。同氏は、これまでヨーロッパ諸国の責任者を歴任してきており、アジア地区を担当するのは初めてのことだという。日本市場に新たな視点で挑む、新しい局長の堅実な取り組みは始まったばかりだ。
(トラベルボイス編集部:山岡薫)