楽天の2014年度通期決算によると、2014年1年間の同社の国内EC流通総額が2兆円を超え、連結営業利益は1000億円超となった。このほど開催された2014年度通期、第4四半期決算の説明会で代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、これを「一つの節目」と表現。トラベル事業についても「足元が強くなってきている」と説明し、好調ぶりをアピールした。
楽天トラベルでは、第4四半期の予約流通総額(予約受付ベースのキャンセル前取扱高・消費税込み)が9.3%増の1535億円に(年間計6380億円)。売上収益は7.9%増の95億4600万円(年間計372億4600万円)、営業利益は15.6%増の40億9800万円(年間計155億300万円)となった。楽天トラベルでは、英語、韓国語をはじめとした10言語による多言語化のインバウンド予約システムを構築してきたが、2015年1月段階で10言語を達成。「足元が強く(三木谷氏)」なってきている一つと言えるだろう。
楽天全体での2014年第4四半期の決算では、連結営業利益は前年同期比73.1%増の333億円(GAAPベース。Non-GAAPでは同21.1%増)。国内流通総額は、6.6%増の5584億円となり、三木谷氏は昨年が楽天日本一セールのおしあげ効果があったにもかかわらず「良い結果」と評価した。
また、Q4の特徴としては44%がモバイルでの売上となったことがあげられた。三木谷氏は、2015年の正月に限っていうと「50%超えになった」ことに触れ、これまで「モバイルに注力できてきたこと」と評価。「スマホをみてパソコンで買う人も多く、世界でもスマホ対応に乗り換えられたかがファクターになっている。」と語った。
▼2014年度は連結で最高益、
今後もパーソナライズ化などで成長を維持
2014年度の連結決算では、営業利益は前年比17.9%増の1064億円(GAAP:Non-GAAPでは9.8%増の1174億年)。EC流通総額は同13.7%増の2兆円を超え。三木谷氏は、今後も売上・総流通額・利益ともに今後も伸ばしていく方針だ。
そのために実践していく展開として、三木谷氏は「スーパーディール(セール)継続」「ビックデータを活用して、一人一人の趣味趣向にあわせていく(パーソナライズ化)」「スマホでの購入動線の改良」「配達システムの構築」を進めることを明かした。
また、Yahoo!ショッピングが出店料無料化で出店数や商品数を増やしていることに言及。楽天がクオリティに注視したことを強調し、「安心をしてもらう手法をとってきた(三木谷氏)」として「楽天市場品質向上委員会」が誠実な出店が報われる仕組みを構築してきたことを説明した。出店審査を強化することで新規申請不許可率が2013年から2014年に2倍の12.4%に。また、偽ブランドや不適切表示を行う規約違反店舗へのサービス停止や契約解除の厳格化を行ったという。
なお、決算発表によると2014年末段階で、楽天会員数は、9700万7500人。会員登録後に1度以上ログインしているのは7000万3300人。また、同期に1回以上商品購入をしたユニーク購入者数(メールアドレスで名寄せ)は3か月で前年2.1%増の1584万人となっている。
楽天は2015年第一四半期の決算発表より経営の実態をよりよく反映するために財務報告でNon-GAAPを採用する。この会計調整は、無形資産の償却、株式報酬費用、その他一過性の事象が対象で、グローバルなネット企業と同様の方法で開示されることになる。
(トラベルボイス編集部:山岡薫)