JAL中期経営計画2016を発表、営業利益率15%、自己資本比率58%を目標に財政基盤強化

JALグループは、「2012~2016年度JALグループ中期経営計画ローリングプラン2016」を策定。競争を勝ち抜くための差別化として、JALブランドの追求、路線ネットワーク・商品サービスの充実、コスト競争力の強化を掲げ、財政基盤として5年連続営業利益率10%以上、2016年度末自己資本比率50%以上を目標として設定した。また、2015年度3件の重大インシデントが発生したことから、原因究明と再発防止を徹底し、安全運航を堅持することも経営目標とした。

JALブランドの追求では、フルサービスキャリア事業に専念し、LCC事業はネットワークを補完するものとして明確に区別していく。そのうえで、2016年度までに「顧客満足度No.1」の達成を目指す。

路線ネットワークについては、国際線では引き続き中長距離路線に資源を集中投入。ボーイング787と「JAL SKY SUITE」の導入路線を拡大し、旅客利便性を高めるとともに、ワンワールドパートナーとの連携をさらに拡充していく。国内線では機動的な需給適合を図り、政策コンテスト枠で増便した羽田/山形線を継続するほか、2014年度夏期に季節運航を行った6路線についても継続していく。

商品サービスでは、国際線で機内インターネット接続サービスを787/777-200ERに拡大する。国内線では、「JAL SKY NEXT」を対象となる77機すべてに導入するほか、機内無料ビデオプログラムの充実、新千歳空港での最上級ラウンジの設置、伊丹・福岡・那覇空港のラウンジ拡充を進めていく計画。さらに、マイルでは、国際線アップグレード特典へのWEB割引の導入など特典航空券を向上させるとともに、新たな提携やサービス拡大に努めていく。

旅客販売では、個人化、WEB化への対応を重点課題と位置づけ、適切な販売チャンネルを見極めることで収入の最大化を図っていく。また、日本地区法人販売体制の強化、旅行会社各社とのコラボレーション強化、JALバックの活用による観光販売促進を進めていく。

2016年度の機材計画では、787型機7機を受領予定。これにより年度末には計33機になる。また、JALグループの総保有機数は230機(国際線85機、国内線145機)となり、2016年度の航空機投資額は計1,910億円の見込み。

ローリングプラン2016では、あわせて2016年度の連結収支計画も発表。営業収益1兆3,430億円(2015年度予測比60億円増)、営業費用1兆1,420億円(同90億円増)、営業利益2,010億円(同30億円減)、営業利益率15.0%(同0.3ポイント減)、経常利益1,930億円(同90億円減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,920億円(同200億円増)とし、自己資本比率は前年度比5.4ポイント増の58.4%を計画した。ユニットコストについては、人件費が増えると予想されるため、2015年度の9.4円上回る9.8円を見込むが、生産性向上とコスト削減努力によって、9.8円から可能な限り削減を目指すとしている。

また、原油価格の低下によって、今年4月〜5月の燃油サーチャージを廃止することにしているが、2016年度の計画でもシンガポールケロシン価格を2015年度の1バレルあたり60.6ドルを下回る50ドルを想定。為替レートは1ドル123円を計画する。

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