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中国テンセント社が、同社のモバイル決済サービス「WeChat Pay(ウィチャットペイ、微信支付)」の日本での営業を本格展開する。2016年6月6日、同社は日本企業向けのビジネスセミナーを開催。会場には百貨店などの小売り業や消費財メーカーなどインバウンド消費に期待が高い日本企業から約250名が参加し、熱心にそのサービスについて耳を傾けた。テンセント社は、チャットアプリと決済機能の連携を強みに、実店舗とネットで顧客にアプローチする「O2O」を可能にする手段として日本企業に売り込む方針だ。
「WeChat Pay」は、中国版「LINE」ともいわれ、中国のスマホ利用者の9割がインストールしているともいわれる人気コミュニケーションアプリ「WeChat(微信)」内から利用できる決済サービス。現在、中国を中心に世界で7億6200万ユーザーを保有している。利用者のスマホ画面に表示したQRコードを店舗端末で読取り、または店舗側の情報端末に表示したいQRコードを利用者のスマホで読取る方式で決済できる。
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実店舗とネットショップの両方で容易に導入できるほか、複数通貨にも対応できるのが強みで、銀行口座と連動した決済機能を提供するのも特徴だ。海外小売店のネットショップや店頭で人民元建ての支払いができるため、中国人旅行者のショッピングに便利に利用できる大きなメリットがある。
説明会に登壇したテンセントホールディングスの執行役員兼経営戦略本部長、江浩然氏はWeChatが「アプリでなくライフスタイルの一部になっている」と語り、中国人の日常での必需品となっていることをアピール。アプリと決済を連携して導入することで、訪日前から帰国後までプロモーションツールとして活用できる点を強調した。
今後、日本における決済公式パートナーであるマーチャント・サポート社が日本の加盟店に同決済サービスの導入支援、販促活動支援などを展開。O2O施策などを通じて、訪日中国人旅行者の満足度向上と消費拡大につなげる。
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トラベルボイス編集部 山岡薫