インバウンド消費が減速、打開策は「サービス消費」へのシフトに ―みずほ総研

みずほ総合研究所はこのほど、「インバウンド消費減速」をテーマとする調査レポートを発表した。2015年後半以降、中国をやNIEs(新興工業経済地域、台湾・香港・韓国など)を中心とするインバウンド消費の減速傾向について要因を分析したもの。

その中で、現状のインバウンド消費を大きく左右する要因は「一人当たりの買い物代」であるとし、今後は買い物だけでない「サービス消費」を促進する施策が重要なカギになるとする見解を示した。

消費鈍化の主要因は「一人当たりの買い物代」の減少

レポートでは、消費の落ち込みは、一人当たりの買い物代が急激に低下しているのが大きな要因であると指摘する。なかでも一人当たり支出のうち「買い物代」が約過半数を占める中国や、NIEs旅行者による消費鈍化の影響が大きいことが判明。いずれも、2015年の中盤にかけて急激な伸びを示した後、急な減速する様子が明らかになっている。また、ASEAN諸国(タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム)についてはNIEs諸国と同レベルで買い物代の割合があるものの、

一人当たりの支出の内訳と推移は以下のとおり。

みずほ総合研究所:報道資料よりみずほ総合研究所:報道資料より

また、この状況を招いた背景には、円安基調が一服の落ち着きをみせたこと、免税品拡大による押し上げ効果や中国での数次ビザ緩和効果が一巡したことなどがあると分析。特に中国については、数次ビザ緩和によって富裕層の割合増に伴う急激な消費増効果がみられたが、緩和策から1年を経過を迎え勢いが一服。2016年1月~3月期には急速な減速に転じたとしている。


消費の底上げのカギは「サービス消費」へのシフト

これらの状況から、同レポートでは「減速に歯止めがかかる可能性はあるものの、これまでの大きな伸びは期待できない」との見解を提示。一人当たりの買い物代を拡大する施策が必要であると指摘する。ただし、中国政府では海外での個人消費流出に歯止めをかける動きがあり、日本での免税品対象品目の最低購入金額引き下げにより、購入単価が低い商品に消費が偏ってしまうと、さらに買い物代が縮小する恐れもあると注意を促す。

一方、買い物以外のサービス支出(宿泊料金、娯楽サービス費、飲食費、交通費など)については、今後の消費水準が底上げする要因となると分析。例えば、NIEsや欧米豪諸国では日本食体験などを主目的とする旅行が好まれ、「モノ」から「サービス」を期待する傾向が強くなっているとし、中期的な観点では「一人当たりの支出の底上げには、サービス消費のさらなる取り込み」が重要なカギになっていくと指摘している。

レポート本文は以下より参照できる。

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