国土交通省は2016年8月31日、貸切バスの安心・安全な運行を目的とする制度改正を発表した。1月に発生した軽井沢のスキーバス事故を受け、事故対策検討委員会がとりまとめた「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」に基づき、法令面からの措置を可能にするもの。
まず「旅客自動車運送事業運輸規則」では、運行管理者資格の対象外となった者の制約を厳しくするとともに、運転者採用時の適正判断の義務づけを強化。書類の保管や記載ルールなども条件を追加した。詳細は以下のとおり。
- 運行管理者資格者証の返納命令を受けた者について、その後の一定の期間(現行:2年間)は、運行管理者の補助者としても運行管理業務に従事できないようにする。
- 一般貸切旅客自動車運送事業者は、申込者に対して支払う手数料等の額を記載した書類を保管しなければならないこととする。
- 旅客自動車運送事業者が作成する乗務員台帳の記載事項に、運転者の運転の経歴を記載しなければならないこととする。
- 一般貸切旅客自動車運送事業者が新たに雇い入れるすべての運転者に適性診断を受診させ、当該運転者の運転特性を踏まえた指導・監督を実施することを義務付ける。
- 下限割れ運賃等による運送を防止するため、一般貸切旅客自動車運送事業者が運送の申込者に対して交付する運送引受書の記載事項に、当該運送に係る運賃・料金の上限・下限額を追加。
また、「道路運送車両の保安基準」では、大型バスの「転覆試験」において乗員や乗客を保護すべき空間(保護空間)の基準を改正。国際連合が定めた基準のうち「バスの車両転覆時の車体強度に係る協定規則(第66号)」を国内基準に適用することとした。