
国土交通省港湾局、観光庁は、このほど「護岸復旧と一体となった和倉温泉の地域観光再生支援プラン」を策定した。
石川県七尾市にある能登半島観光の拠点である和倉温泉は、2024年度能登半島地震で大きな被害を受け、多くの旅館で復旧作業・工事が進められているものの、すべての旅館が営業再開するには相当の時間が必要とされている。旅館の営業再開に関する情報や海沿いに位置することから多くの旅館が影響を受けた七尾湾の護岸崩壊の復旧工事の進捗、観光再生に向けた取り組みを国の支援に関する情報とともに継続的に発信することで、再生につなげる。
復旧に向けては、地元経営者らが議論を重ねて「能登の里山里海を“めぐるちから”に。和倉温泉」をコンセプトに掲げた「和倉温泉創造的復興ビジョン」を2024年2月に策定したほか、被災した民有の護岸を公有化し、和倉温泉の魅力維持、周辺環境に配慮したうえで復旧するとした「護岸復旧方針」を同年9月にとりまとめた。また2025年3月には若手経営者や専門家、住民参加型のトークを通じ、具体的な復興まちづくりの方針を示した「和倉温泉創造的復興プラン」も発表されている。
被災直後は21旅館すべてが休業を余儀なくされたが、2024年度中に4旅館で一般客の受け入れており、2025年度中に4旅館、2026年度中に5旅館が営業再開を予定。「護岸復旧と一体となった和倉温泉の地域観光再生支援プラン」では、護岸復旧工事との調整を図りながら、円滑かつ着実に復旧工事、営業再開を進めていく必要があると指摘している。
なお、民有護岸の公有化の手続きは2024年12月に完了し、国が一体的に施工するとして本復旧に全面着工した。観光関連分野では、2024年度補正予算を活用した復旧も進められており、国は今回の支援プラン策定に基づき、関係者と連携、地域とともに支援をフォローアップすることで復興を後押していく方針だ。