
古代エジプトの大王・ラムセス2世とその時代にまつわる至宝を展示する特別展「ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金」が、2025年3月8日〜9月7日にかけて「ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo」で開催される。主催は、世界中で没入型エンターテイメント体験を企画・運営するNEON(ニオン)社の日本法人「NEON JAPAN」と「ラムセス大王展ファラオたちの黄金実行委員会」。「ラムセス大王展」は、同社が日本で展開する初の事業となる。
その重要な日本での展開において、チケット販売ではEチケット予約プラットフォームの「リンクティビティ」を導入した。国内の来場者だけでなく、インバウンド旅行者もターゲットに、販路を拡大していく方針だ
NEON JAPAN社長のベルナルド・ウィー氏は「訪日外国人旅行者が急増し、体験型コンテンツの需要が高まっている。新規顧客の獲得に、インバウンド需要の取り込みは欠かせない」と話し、販売戦略の一端を明かした。
NEON JAPANが主催する「ラムセス大王展」とは
「ラムセス大王展」は、古代エジプト新王国時代(紀元前1539年〜1075年)に由来する約180点の貴重な遺物や華麗な黄金の工芸品の実物を、エンターテイメント性を加味した新しいスタイルで展示される体験型展覧会。エジプト史上、最も偉大な王といわれるラムセス大王の生涯を、VRやプロジェクション・マッピングなどの最新技術で再現する没入型体験も提供する(VRは別料金)。
NEON JAPAN社長のベルナルド・ウィー氏は「展示品はエジプト政府から直接借りた本物で、総額1000億円以上の価値がある。国外展示が初の遺物も含まれ、エジプトに行っても見ることができない展示物もある。VRの映像も、エジプト政府の許可を得て、特別にピラミッド内部で撮影したもの」と自信を示す。同展はこれまで、パリやサンフランシスコなど欧米豪の5都市で開催され、成功を収めている。
シンガポールを本拠とするNEONは、グローバルIP(知的財産)ブランドとパートナーを組んで事業を展開。例えば、映画関連ではワーナー・ブラザーズとの「ハリー・ポッター:ビジョンズ・オブ・マジック」、NBCユニバーサルとの「ジュラシック・ワールド展などを世界中で開催している。また、文化遺産や国宝など国が保有する知的財産についてもライセンスを取得。今回の「ラムセス大王展」をはじめ「マチュピチュとペルーの黄金帝国」展、「世界のミイラ」展などの歴史遺産展も開催している。
ラムセス大王展。エジプト政府から許可を得た本物の貴重な遺品の数々が並ぶ © NEON Group Limited. All rights reserved.
ウィー氏は「NEONが仕掛けるのは都市型のテーマパーク。世界トップクラスのロボット技術を内製しており、展示物を“動かす”ことができるのも特徴の一つ」と話し、競合との違いを強調する。グループ内にエンターテイメントロボット開発企業を持ち、四足歩行ロボットの研究開発で知られるボストン・ダイナミクス社との提携のもと、技術開発に勤しんでいる。
会場内を観覧するNEON JAPAN社長のベルナルド・ウィー氏
初の東京開催となる「ラムセス大王展」は、アジア初上陸でもある。これにあわせ、NEON JAPANは豊洲の「ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo」を会場に定めた。NEONの常設施設を構えるのは、シンガポール、ロンドン、ラスベガスと東京のみだ。
リンクティビティと連携する魅力
チケット販売でリンクティビティのシステムを導入した理由は、インバウンド集客が大きな目的だ。リンクティビティは、日本の鉄道・バス・ツアー・体験商品などとグローバルOTA約400社とを繋ぐプラットフォームを提供。QRコードを用いたEチケット(QR)システムは、インバウンド向け販売ソリューションとして、日本の主要な観光施設や交通機関に採用されている。ウィー氏は「リンクティビティと各交通事業者とのパートナーシップに非常に魅力を感じた」と導入を決めた経緯を説明した。
チケットは、国内では主要プレイガイド、国内体験予約サイト、オフィシャルサイトで販売。インバウンド向けは主にリンクティビティのOTAなど販売ネットワークを活用する。ウィー氏によると、チケットの在庫は国内とインバウンドで分けているという。
リンクティビティ東日本事業部部長の李明載氏によると、「ラムセス大王展は強力なコンテンツ。OTAも販売に協力的」と明かす。
リンクティビティは、チケット単体に加えて、会場までの交通チケットをセットにした商品の販売にも力を入れていく。会場の最寄り駅「市場前」を通る「ゆりかもめ」とのセット券も提供する計画。リンクティビティと連携するOTAやラムセス大王展の公式サイトのほか、各交通機関の公式販売サイトでも販売される予定だ。
また、2025年3月17日からは「ゆりかもめ」に、リンクティビティが提供するQRコードにも対応した新しい改札機を導入。これによって、インバウンド旅行者はオンラインで購入したQRコード付きチケットを実券に引き換えることなく、改札機にかざすだけで乗車することが可能になる。李氏は、同社がチケット販売だけでなく、利用シーンも想定したプラットフォーム開発をしていることについて「インバウンドに限らず、国内旅行者にとっても利便性が高いものになるはず」とアピールする。
リンクティビティ東日本事業部部長の李明載氏
ターゲットにリーチする強み
インバウンドについては、アジア初の開催となることから、特にアジアからの集客を見込む。その中でも、最大の市場と見込まれるのが中国。ウィー氏によると、中国ではエジプト文明に対する関心が高まっているという。
中国市場へのアプローチとして、リンクティビティではWeChatのような現地で人気のサービスとも連携している。そのため「中国人旅行者がWeChatのミニプログラムからチケットを購入して、全てQRコードで移動することが可能になる」(李氏)。ウィー氏も「当面は主要なOTAで販売を始めるが、今後のインバウンド戦略にあわせて、市場ごとに適した販売チャネルを選択できることもありがたい」と期待を寄せる。
このほか、「多くの来場者が見込まれていることから、現場のオペレーションも大事になってくる」(李氏)との考えから、会場の入場ゲートや券売機などでも同社QR対応のソリューションの導入を提案しているところだという。
リンクティビティでは、各種販売チケットの販売状況などデータの一元管理がおこなえるのも強み。李氏は「直販ページやOTAなど、(それぞれのチャネルにおける)販売実績がリンクティビティの管理ベージで一元的に管理できる」と話し、事業者とのデータ共有で、次のマーケティング・販売戦略に向けてさまざまな施策を打つことができるメリットを強調した。
NEON JAPANの会場として契約した「ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo」
新たなIPイベントを計画、訪日客にもアピールするコンテンツに
「ラムセス大王展」はエジプト政府公認の企画展で、エジプト観光局もバックアップしているウィー氏は「エジプトに関心のある方々の来場が見込まれることから、その方々に向けてエジプトへの旅行を訴求する機会にもしていきたい」と話し、日本のアウトバウンド旅行会社との連携にも意欲を示した。
さらに「ラムセス大王展」後の計画についても言及。「CREVIA BASE Tokyo」では、新たなIPエンターテイメントを開催する計画だ。
日本にはマンガ、ゲームなどの世界で人気のコンテンツも多いことから、ウィー氏は「将来的には日本発のIPエンターテイメントを世界展開していきたい」と話す。もちろん、リンクティビティもさまざまなシステムを整え、今後もNEON JAPANとの連携を強化していく方針だ。
様々な技術を駆使し、その歴史の偉大さを伝える © NEON Group Limited. All rights reserved.
お問い合わせ:info@linktivity.co.jp
記事:トラベルボイス企画部