国土交通省自動車局はこのほど、バス事業者を対象とした「改善基準告示」などに関する運用実態調査の結果を発表した。乗り合いバス事業者25社(大手13、中小12)と貸切りバス事業者25社(大手12、中小13)にヒアリングを実施し、さらに運転者250名にアンケート調査をおこなったもの。調査時期は2014年7月~8月。
事業者へのヒアリングによれば、運転者の年齢構成は40代が37%で最も多く、次いで50代が28%、30代が19%、60代が12%。時間外・休日労働に関する取り決めについては、9割以上の事業者が所定労働時間や休日、労働させることができる休日を定めていると回答。また、始業・終業時刻を定めているのは78%、休憩時間を定めている事業者は84%となった。
ただし、1ヵ月の勤務日数、1日の休息時間、1日の運転時間、連続運転時間、連続勤務の回数については6~7割の事業者が「定めていない」と回答。昼夜混在勤務の回数については88%が「定めていない」状況だった。そのほか、高齢運転者に対する特例・運用上の配慮をおこなう事業者は4割、持病を抱えている運転者に対する特例・配慮を行う事業者は3割。夜勤後の休息時間や連続勤務者に対する特例・配慮についてはそれぞれ22%のみが「(配慮)あり」。一方、一定以上の時間外・休日労働を行った場合の疲労度をチェックする体制については、6割が「チェック体制がある」と回答した。
また、運転者へのアンケートによれば、通算勤務年数の比率が最も多かったのは20年以上(31.9%)。次いで5年以上10年未満が21.4%、10年以上15年未満が18.1%だった。
運転者の労働時間に関する質問では、1日の平均的な拘束時間(ワンマン業務の場合)は、12~13時間が20.6%と最も多く、次いで10~11時間(18.5%)が続いた。1日の実運転時間(休憩時間を除く)では、6~7時間(32.3%)が最多。5~6時間(30.2%)、7~8時間(21.8%)と続き、8~9時間が7.7%だった。
直近1ヵ月の休日日数については、5~6日が42.3%、7~8日(30.2%)とづづいたが、3~4日(24.2%)も2割以上を占める。13日以上の連続勤務については、約6割が「連続勤務はほとんどない」とする一方で、「連続勤務が恒常的にある」が5.6%、「連続勤務は2ヵ月に1回程度ある」が10.5%を占めた。また、連続運転の間の休憩中に旅客対応をおこなうことがある運転者が47.6%(ときどきある、よくあるの合計)となっている。
なお、今回の調査の前提となった「改善基準告示」は以下のとおりだ。
参考:改善基準告示についてバス事業者は運転者の過労運転を防止するため、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(いわゆる「改善基準告示」)を遵守した運行計画を設定することが、法令上義務付けられています。
|