トリップアドバイザーは2017年2月15日、2016年第4四半期および通年の決算を発表した。それによると、第4四半期の売上は前年同期比2%増の3億1600万ドル(約347.6億円)。2016年通年での売上は前年比1%減の14億8000万ドル(約1628億円)。米国会計基準(GAAP)の純利益は、第4四半期が同67%減の100万ドル(約1.1億円)、通年では前年比39%減の1億2000万ドル(約132億円)だった。
2016年度の売上の内訳は、ホテル部門が6%減の11億9000万ドル(約1309億円)と落ち込む一方、ホテル以外(アトラクション、レストラン、バケーションレンタル)が27%増の2億9000万ドル(約319億円)。売上の8割を占めるホテル部門では、2014年から導入した宿泊施設の直接予約機能「インスタント・ブッキング」によって、他旅行予約サイトからのクリック数・ディスプレイ広告収入などが頭打ちになったものの、インスタント・ブッキング取扱いは、まだこれを相殺する規模には至っていない。
スティーブ・カフナー最高経営責任者(CEO)は2016年について「大きな変革の年だった。ホテルのインスタント・ブッキングの世界展開が本格化し、観光アトラクション、レストラン、バケーションレンタル事業も拡充した」とコメント。価格比較や予約機能も充実したトリップアドバイザーの利便性を、一般利用客向けにさらに訴求する方針で、宣伝広告やマーケティング戦略も検討中としている。
また、アーネスト・トニッセン最高財務責任者(CFO)は「事業拡大に伴い、大規模な投資を行ってきたことが決算数字に影響しているが、想定の範囲内。しかし昨年第4四半期が転換期で、米国市場を中心に(ホテル売上は)プラス成長に転じ始めた。2017年は、売上の拡大を最優先に、当社プラットフォームの収益力や成長に必要な投資も行う」としている。
ホテル部門が扱う直接予約機能「インスタント・ブッキング」は2014年から米国で開始。2015年にはアジアに上陸、2017年はグローバルでの展開を加速する考え。昨年末時点で、インスタント・ブッキング可能なホテルは56万軒に達した。
ホテル以外の部門の成長株は「アトラクション」
一方、売上の20%を占めるホテル以外の部門(観光アトラクション、レストラン、バケーションレンタル事業)でも、ホテル同様、予約を含め、様々な機能を拡充する方向で積極的に投資を進める方針。なかでも長期的に最も大きな成長を見込んでいるのは現地ツアーや観光スポットのチケット、アクティビティなどを扱うアトラクション部門。ユーザーの関心が高い分野で、2016年には提携するサプライヤー数は前年比90%増、予約まで取り扱うプロダクトは同80%増の計5万6000カ所に拡大した。
昨年第4四半期には、2014年に傘下としたビアター(Viator)社との事業統合も進み、アトラクション関連コンテンツをトリップアドバイザーのページにすべて追加。さらにトリップアドバイザーの全プラットフォームで、アトラクション部門のインスタント・ブッキング機能も提供開始した。2017年の目標は、この分野の情報収取に加え、最終的な予約までをなるべく迅速かつ効率的に自社サイト内で取り扱う体制を整えることとしている。
レストランについても、同様の取り組みと投資を行う計画。昨年は、予約可能な店が同20%増の4万軒(12カ国)に増加。今年はモバイル・プッシュ通知機能など、新しいツールも追加しながら、レストラン予約でもリピート率を向上する考え。バケーションレンタルの登録件数は、昨年末の時点で同10%増の83万5000軒。このうち8割は、予約も可能になっている。
そのほか、決算で発表された同社の実績は以下だ。2016年の月間平均ユニークビジター数は、夏の旅行シーズンには前年同期比14%増の3億9000万人。ユーザーのレビュー数は昨年12月末時点で、前年比45%増の4億6500万件。レビュー対象は、ホテル・宿泊施設数が約106万軒、バケーションレンタルが83万5000軒、レストラン430万軒、観光アトラクション・体験などが76万軒。
※円換算は1ドル110円としてトラベルボイス編集部が算出。