アリタリア-イタリア航空(AZ)は2017年5月2日(現地時間)、同日おこなわれた株主総会にて、事実上の経営破たん状態になったことを発表した。今後はイタリアの法律に準拠し、特別管財人のもとで再建を進める手続きを政府に申請する。当面、運航スケジュール通りに運用されるとしている。
同社は深刻な財務的に深刻な状況に陥っており、イタリアの株主やエティハド航空が労働組合との合意のもと、人員削減などの構造改革を前提として20億ユーロ(約2440億円)におよぶ資金調達を提案していた。しかし、従業員がその条件を拒否。短期間で再建に向けた代替案を検討することは困難であると判断された。
アリタリア・イタリア航空は、1946年に創設されたイタリア最大手の航空会社。49%の株式を所有するUAEのエティハド航空とパートナーシップを組んでいた。
※編集部注:以下は2017年5月3日20時に追記。
なお、AP通信によれば、イタリア経済開発大臣のカルロ・カレンダ氏は今回の対応について、「短期的には政府の資金投入を最低限にとどめながら、サービス品質や路線、雇用を保護する方策を検討してゆきたい」とのコメントを発表した。しかしその一方で、欧州航空市場は自由化が進み、LCC(低コストキャリア)との競争激化もあってアリタリア航空はすでに競争力を失っているとする政府見解にも言及。政府が同社の再建を積極的に支援する可能性は低いとするアナリストの見解も示している。
また、ローマのルイス大学で教鞭をとる航空アナリストのグレゴリー・アレギ氏らは今回の破たんについて、「必然的なことだった」とも表現。かつて、オーストリア航空やスイス インターナショナル エアラインズがルフトハンザ航空の傘下に収まった経緯と比較しても、今回のアリタリア航空の負債規模は膨大であり、同社を買収して再建をおこなう企業は「すでに市場シェアを失い、膨大な負債と運用コストを持つ企業をマネージするリスクを覚悟する必要がある」との厳しい見方を示している。