京都市がこのほど2016年の「京都観光総合調査」をまとめた。それによると、京都市の観光消費額は前年比11.9%増の1兆862億円で過去最高となり、2020年の目標を4年前倒しで達成した。日本人観光客一人あたりの観光消費単価についても、宿泊、買物、飲食が伸びたことから、2015年の1万7,073円から1万9,669円に増加、過去最高を記録した。
観光客数は前年の5,684万人から5,522万人に減少。日本人日帰り客が4,156万人から3,764万人に減少したことによるもの。京都市では、近郊からの日帰り客の減少が要因と分析している。一方、宿泊者数は同3.9%増の1,415万人で過去最高。そのうち、日本人宿泊客数は1,097万人、外国人宿泊客数は過去最高の318万人。外国人の日帰り客も前年の166万人から343万人と大幅に増加した。
また、無許可民泊施設の状況も調査。無許可のため補足できない宿泊者数が増加しており、その数は110万人程度と推計している。京都市では、住宅宿泊事業法(民泊新法)を踏まえて、京都ルールを独自に制定し、無許可民泊施設の対応を強化していく方針だ。
宿泊施設の稼働率は89.1%と高止まり。外国人の「京都に泊まりたいけれど泊まれない」割合は15.9%となった。
このほか、京都観光に関する満足度調査では、全体の満足度(大変満足〜やや満足)は日本人で89.0%、外国人で96.9%と高い水準を維持した一方、公共交通機関に関する残念度は日本人で前年の8.5%から12.3%、外国人で6.4%から9.5%に増加した。また、混雑の残念度では日本人が前年の13.8%から15.0%に微増したが、外国人は6.4%から5.9%に微減した。
京都市では今後の方針として、観光客の分散化による満足度の向上に取り組む考え。具体的には、多様なエリアの奥深い魅力を発掘・発信し,市内全域への観光客の分散化と地域の活性化を目指す。また、全庁を挙げて観光を振興する「京都市観光振興推進会議」に「観光客分散化部会」を設置し,各エリアの主体的な取組を支援していく。さらに、「京都遺産・伝統文化・匠の技体験型ツアー拡充事業」などによって文化体験ツアーの造成も促進していく方針だ。