2017年9月21日から開幕する「ツーリズムEXPOジャパン2017」。その規模感や商談会の詳細が発表された。4年目となる今年の命題はBtoB向け商談の強化。2019年以降の地方開催を見据え、「展示会から展示商談会への進化」を目指す。概要を発表した記者会見で、JATA事務局長の越智良典氏は「規模感としては、日本でも10本の指に入るのでは」とその進化を評価した。
*画像はKNT-CTホールディングスが発表した今年のブースのイメージ。
商談会(業界日)
セラー・バイヤーの大幅増、ネットワーキングも拡充
商談会の概要はこうだ。
まず、拡大を目指した「量」では登録社数が増加。9月7日の段階でバイヤーの総数は前年比71%増(2016年は183社)の313社、セラーの総数は同56%増(2016年は435社)の676社に。アウトバウンド商談会、国内商談会ともに登録者数が増加した。また、今年からは新設された訪日ランドオペレーター商談会には、インバウンド手配を行うツアーオペレーター品質認証制度登録旅行会社を中心に31社が参画する。
これにより、可能となる商談最大件数が昨年比150%増の6886件となった。
質の充実では、アポイント商談を昨年の1日から2日間に。海外の方式を取り入れ、展示ブース内での商談会実施も導入した。また、オンラインのマッチング機能を拡充。参加事業者の会社・担当者をデータベース化したキーパーソンリストを活用することで会期前・会期中・会期終了後もコンタクトすることを可能とした。リストをもとにコンタクトが可能な期間は8月31日から12月22日となる。
また、地方在住のバイヤーが参加しやすくするための施策も実施。宿泊費や交通費の一部補助を行うなどで地方の団体担当者らをアウトバウンドでは前年比41%増の65社に、国内では同52%増の35社に増加した。
日本経済新聞社とともに開催する「インバウンド・観光ビジネス総合展」には、インバウンド観光ビジネスを支援するマーケティング、多言語、ICTソリューション、映像など多岐にかかわる企業の出展が決まった。富士ゼロックス、KDDI×コロプラ、ソフトバンク、日本ユニシスなど大手企業から中小の専門業者などが名を連ね、これらの企業ともキーパーソンリストを活用したオンライン上のマッチング機能を活用できる。
こうした商談会のほか、ネットワーキングの時間も拡充。初日の21日には、「WELCOME RECEPTION」としてセラーとバイヤーの交流の場を設定した。国内・訪日の登録者1600名が集う「JAPAN」会場、海外旅行の登録者1100名が集う「WORLD」会場の2つで合計2700名の場を設けた。また、22日には特設ステージで出展社と主催団体の役員らを対象とした「EXPO交流会」も実施する。
概要発表の記者会見でツーリズムEXPO推進室室長の早坂学氏は、業界日の充実によって「来場者にリターンを持って帰ってもらうイベント」としたことに自信をみせた。
展示会
出展数は過去最大に、「体験型」「インスタ映え」を意識
展示会の出展企業・団体数では昨年比11%増の1310となり、過去最高の規模に。国内47都道府県、世界130か国・地域からの出展、小間数は過去最大となる2130コマとなった。
推進室によると、ブースの特徴としては今年のテーマである「見つけよう。旅の新しいカタチ」にちなんだ、「旅の新しいカタチ」を体験できるブースが多数登場している。VR(仮想現実)による旅行体験や、インスタ映えを意識したグルメやフォトジェニックスポットの紹介などが特徴だという。
例えば、HISは昨年に引き続きVR体験を用意。カナダのオーロラツアーの紹介では氷点下30度の世界を体感できる冷凍コンテナを用意し、寒さを体感しながらVRのオーロラ鑑賞を行う仕掛けを用意した。
KNT-CTホールディングスでは、「シドニー2000パラリンピック」で実際に使用した競技用車いすの試乗体験を開催。視覚障がい者の方を対象に、同社スタッフがEXPO会場内を案内する日帰りツアーを開催する。
地域からは産業観光や伝統工芸にフォーカスした展示も。愛知県からは11月に開業する「あいち航空ミュージアム」が先端技術を紹介するコーナーや、北九州市から工場夜景やものづくりの現場を知る旅などを提案する。
こうしたBtoCの側面も持ちながら、日本ならではの観光ビジネスの開拓と拡大を後押しするツーリズムEXPOの開催は9月21日(木)から24日(日)の4日間。その様子は、後日記事でも紹介していきたい。