中国EC事業大手「Meituan-Dianping(美団・大衆点評)」がこのほど、資金調達ラウンドを実施した。調達先はプライスライン・グループを含む複数の主要投資家で、金額は合計40億ドル(約4400億円)。プライスライン・グループ単体での出資額などは明らかになっていない。
あわせて、美団・大衆点評はプライスラインの宿泊予約サービス「アゴダ(Agoda.com)」との間で戦略的パートナーシップを締結したことも発表。2017年にアジア太平洋地域向け旅行サービスブランドとして創設された「美団旅行(Meituan Travel)」事業に特化し、協働を進める方針だ。
美団・大衆点評は、2015年に共同クーポン購入サービス「Meituan(美団)」とクチコミサイト「Dianping(大衆点評)」が合併してできた企業。中国最大規模の2事業が統合し、新たに中国最大O2O大手企業が誕生したかたちだ。今回の資金調達は、中国ネット事業最大手のテンセントによるシリーズCラウンドとして実施したもの。テンセントは美団の戦略パートナーとなっていたほか、これまでも資金調達ラウンドを手掛けている。
現在、美団・大衆点評は、統合プラットフォームを活用したアプリ1つで、レストラン予約から宿泊・旅行予約、オンデマンド配信、エンターテインメントサービスなどを展開している。中国全土で年間500万件以上の事業者がサービスを提供し、2.8億人におよぶアクティブ顧客にサービスを利用しているという。AI(人工知能)利用の分析技術も搭載し、積極的な事業展開をおこなっている。
今回のプライスライン・グループらによる出資は、旅行&レジャーのほか、インストア・ダイニングやライフスタイル&エンターテインメント、オンデマンド配達といったビジネス領域拡大への投資に使われる見通し。中国国内の事業者に向けた業務効率向上や消費拡大に向け、一層のサービス拡大を積極展開する。
今回の出資決定を受け、プライスライン・グループのグローバル開発責任者トッド・ヘンリッチ氏は「中国ローカルサービスをリードする企業に支援することができて非常にうれしい」とコメント。アゴダと美団・大衆点評のパートナーシップについて、両者の専門性が中国の巨大な旅行市場にとって新たな機会創出につながるとしている。