ルフトハンザ・ドイツ航空の親会社であるドイチェ・ルフトハンザAG(ルフトハンザ・グループ)は、旅行業界へのブロックチェーン技術の導入を推進する。このほど、スイスのスタートアップで、旅行業界向けにブロックチェーンによる流通プラットフォームを提供するワイディング・ツリーとパートナーシップを締結した。
ブロックチェーン(分散型台帳技術)とは、各社が個別に保持するデータベースの一部(台帳情報)を共有化する技術のこと。これまで旅行業界の流通では、航空会社やホテル、サプライヤーとそれそれ交渉が必要だったが、ワイディング・ツリーのブロックチェーンをベースとした分散型BtoBマーケットプレイスシステムを導入することで、個別交渉ができなかった多くの企業が旅行サプライヤーのオファーに直接アクセスができるようになるという。
ルフトハンザ・グループでは、こうした従来の流通のスタイルが新興企業や異業種の参入を困難にさせ、旅行流通のデジタル化における革新的な発展の阻害要因になっていたと指摘。ブロックチェーンを旅行業界に導入することで、仲介業者との調整を排除して流通再編を促し、革新的な流通ソリューションとデジタル化の推進を目指す。
同社では、今年3月、2020年までにデジタル技術を使ったサービスのパーソナライズ対応に5億ユーロ(約610億円)投資する方針を明らかにしている。先ごろ行われた記者会見でも、日本・韓国支社長兼スイス インターナショナル エアラインズ 日本・韓国地区社長のドナルド・ブンケンブルク氏が、同社のデジタル事業への注力を強調。各種のデジタルサービスの開発に着手していることを説明している。
今回のブロックチェーン導入では、すでにルフトハンザ・グループは、国際航空運送協会(IATA)の流通企画NDCに基づくAPIの開発を開始。同APIをワイディング・ツリーのブロックチェーンと統合し、旅行アプリを開発するすべての企業が、ルフトハンザ・グループのオファーにアクセスできるようにするという。
なお、ワイディング・ツリーは11月1日に仮想通貨「Lif」のトークン販売を開始し、初期開発の資金調達を行なう。ルフトハンザ・グループはこのプレセールに参加する方針だ。