JALが国際線LCCに参入、新会社設立で赤坂社長「3年で黒字化」に意欲、デジタル活用で個人対応するサービスへ

左から、JAL赤坂裕二社長、常務執行役員 西尾忠男氏

日本航空(JAL)が格安航空事業に参入する。2018年7月に、新たに国際線で中距離路線を運航する格安航空会社(LCC)を準備会社として新設、2020年の夏スケジュールでの就航を目指す。発表の記者会見では、JAL赤坂裕二社長が、新たな事業をスピード感を持って、3年で黒字化を目指したい意向を示した。

新会社は、成田空港を拠点にB787で運航可能なアジアや欧米などを就航地とする計画。JAL本体が持つ路線と重複しない中距離路線を、B787-8型機2機で運航する。JALが中期経営計画で掲げる「事業領域を拡げる、新たな領域」事業のひとつとして実施するものだ。これまで進めてきたフルサービスキャリア事業や、国内・国際短距離路線を運航するジェットスター事業に中距離LCC事業を追加し、価値観が多様化する顧客に新たな選択肢を提示する。

会見で赤坂社長は、今回のLCC参入について「LCC中長距離は技術的にはそう簡単でない。が、これかで培ってきた技術を使って新たなLCCモデルを作っていきたい」と意気込みを見せた。就航地やサービスの詳細は、これから組み立てていくことになるが、赤坂社長は「フルサービス(FSC)から引き算で考えるローコスト(低価格)ではなく、まったく違うビジネスモデルを前提に新しいものを組み立てていくことが一番重要」との考え。JALとは全く違うブランドを確立し、FSCをスタートポントとしないことが「成功のカギになる」とした。

さらに、拡大するインバウンドに対応していくために気軽に遠隔地から来日する手段を提供するための機材としてB787を選定したことにも触れ、「機内の快適性もあるB787を使うことが大きなポイントになる」と語った。

JAL赤坂裕二社長JAL:報道資料より

デジタル活用で個人に対応するサービスへ、旅行会社とのシステム接続も

具体的な事業に関しては常務執行役員 経営企画本部長の西尾忠男氏が説明。新会社が運航するB787では提供座席をJALの4~5割増で提供する。現在のJALのB787型機では約200席程度の座席を提供しているので、約300席程度となる見込みだ。

また、旅客システムでは、「IT・デジタルを活用しながら旅客にわかりやすく、LCCにふさわしい手法をとっていく」(西尾氏)という。JALのFSCでは、一律に高品質のサービスを目指してきたが、旅客にカスタマイズされたパーソナルなサービスを提供。運賃は低単価で提供し、旅客が必要なサービスを選択して購入できるサービス設計を行う。低価格運賃を提供しつつ、機材の高稼働と付帯運賃の販売する世界のLCCモデルを推進していく考えだ。

また、デジタル技術の活用では「フルサービスにありがちな間接コストを削減していく」「旅行会社とのシステム接続による協業」なども行っていくことにも言及した。

常務執行役員 経営企画本部長の西尾忠男氏

なお、新会社はJALの連結子会社とする予定。ただし、LCCでは様々な分野の知見が必要になることから各種企業への出資による事業参加も模索するという。

JAL:報道資料より

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