来年度の観光予算は2.5倍増の785億円、「出国税」財源の高次元施策に480億円、新たにAI導入・ビックデータ分析なども -国交省・概算要求2019

国土交通省は2018年8月29日、2019年度の観光庁関係予算概算要求を公表した。予算要求総額は前年度比2.45倍増となる785億3300万円で、東北復興枠を除く一般会計では、2.68倍増の739億6800万円を要求した。

そのうち、2本柱である「国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開」に前年度比8倍となる480億円を要求。「観光推進国の実現に向けた観光施策の着実な実施」には同22%増252億1800万円を要求した。

以下、主な予算項目の概要を抜粋する。

国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開:480億円

まず、出国税(国際観光旅客税)財源充当事業である「国際観光旅客税を活用したより高次元な観光施策の展開」では、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備を強化。具体的には、出入国審査などの円滑化を実現するための最先端技術の活用するとした。また、デジタルマーケティングを活用したプロモーションの高度化などを通じ、日本の多様な魅力に関する情報の入手しやすさ向上、地域交友の文化や自然などを生かした観光資源整備などを通じて体験滞在の満足度向上につなげるものとした。

観光推進国の実現に向けた観光施策の着実な実施:252億1800万円

(1)戦略的な訪日プロモーションの実施と観光産業の基幹産業化:140億8400万円

ここで最大の予算を要求した項目は「戦略的な訪日プロモーションの実施と観光産業の基幹産業化」で、前年度49%増となる140億8400万円を要求。2020年の訪日外国人旅行者数4000万人、2030年の6000万人の目標達成に向け、世界からの誘客を展開する方針に沿い、特に欧米豪市場への強化とアジア市場からの誘客拡大を徹底。地域別の戦略的な施策を展開する。一方で、新重点市場10市場を設定し、先行的なプロモーションや富裕層の誘客拡大を進める。

宿泊関連では、生産性向上推進や情報開示促進など「地域の活性化促進」に1億5000万円、健全な民泊サービスの普及に2億900万円を充当した。違法民泊の排除促進では、違法物件情報を集約するシステム構築に着手する。

さらに新規項目としては「AI(人工知能)」などの導入による旅行サービスの高度化事業を設定(要求額5000万円)。SNSやビッグデータ、企業データ分析などを進め、旅行者のニーズに的確にこたえるためのツール開発などに活かし、個人の好みを反映できる旅行サービスの提供につなげるものとしている。

同じく新規項目としては、「テーマナビゲーター育成事業」(要求額7000万円)をせってい。地域滞在の満足度向上のため、外国人対応可能なガイド人材の育成をおこなう。

(2)観光資源を活用した地域への誘客の促進:25億7200万円

また、「観光資源を活用した地域への誘客の促進」では29%増の25億7200万円を計上。DMOが中心となって進める広域周遊観光促進のための支援制度、テーマ別観光による地方誘客などを展開するものとした。

(3)訪日外国人旅行者の受け入れ環境の向上:77億8200万円

ここでは、前年度並みの77億8200万円を計上。例えば全国共通ICカードの導入や多言語バスロケーションシステムの設置、様式トイレの整備、鉄道駅やバスターミナルにおける移動円滑化などを進める。また、少子高齢化や大規模国際競技大会を視野に、宿泊施設におけるユニバーサルツーリズム促進を強化する。

そのほか、「観光統計の整備」に対し、28%増の7億7900万円を要求。国レベルのインバウンド消費実態の把握のほか、都道府県レベルの地域観光統計整備も進める。

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