JTB総合研究所は、「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2018)」の結果を発表した。同社ではライフスタイルや価値観が消費行動や旅行に与える影響について継続的に調査分析を行なっており、同調査は、スマートフォンの利用実態と人々の意識を継続的に調べることで、今後の生活や旅行行動に関する変化の兆候を見出すのが狙い。2013年以降実施しており、今回の調査は6回目となる。
これによると、スマートフォンで旅行商品の予約購入をした割合は47.3%となり、調査開始以降、年々増加。商品別では、宿泊施設(27.7%)、レストラン(15.8%)、国内ツアー(15.7%)、航空券(12.6%)と続き、特にレストランやレンタカー(8.3%)の伸びが大きかった。ほとんどの商品で前年を上回り、スマホでの予約購入は伸長しているが、海外ツアー(1.2%)は縮小。ツアー商品をスマートフォンで購入しない理由では、「いろいろな入力をするのが面倒(40.3%)」が高い結果となった。
旅行前(タビマエ)にスマートフォンで準備することは、「旅行先の情報」や「予約情報」の「同行者との共有」(46.8%)や「経路検索」(40.9%)、旅行中(タビナカ)では「経路検索」(45.2%)、「食事やお茶の場所を探す」(44.8%)などが多かった。旅行後(タビアト)では「写真の共有」(59.3%)が圧倒的だが、「旅行先情報の共有」(31.1%)も高く、JTB総研では自分が実施した旅行を確認する行為が、次の旅行への布石となる可能性もあると見ている。
AIを利用した旅行関連サービスについては、利用経験がある人は11.4%と1割強。利用率が高かったのは「旅館やホテルの問い合わせ」(8.3%)で、姓年代別では男性30代と女性29歳以下の利用が多かった。利用した印象については、「人より気軽に質問できる」(60.7%)と気軽に利用できる点を評価。「技術が向上したらもっと使いたい(22.2%)」は「自分にはあまり必要ない」(10.3%)より高く、今後の技術の進化に伴い、利用が拡大していくと見ている。
このほか調査では、SNSの影響についても質問項目を用意。「SNSは見るだけで投稿はしなくなってきた」(36.9%)は上昇したが、「SNSの投稿を見て行ってみたいと思った場所に行った」(20.8%)、「SNSで知った情報でいいと思ったものを購入した」(20.7%)は3年連続で上昇し、外出や消費のきっかけになっている。
SNSの投稿をきっかけとしたお出かけについて、満足したことは「その場の雰囲気や風、においなどを体験できた」(55.6%)、「SNSで見たものを実際に体験できた」(54.7%)と、SNSで見た情報を実際に確認できたこと自体が満足となっている。一方、不満だったことは「想像していたより混んでいた・並んだ」(24.8%)、「想像していたほど美味しくなかった」(20.15)など、投稿内容だけでは得られない現実とのギャップが原因となった。
調査は2018年10月11日~10月17日まで、首都圏、名古屋圏、大阪圏に住む18~69歳の男女1万人にスクリーニング調査を実施。本調査はそのうち、プライベートでスマートフォンを利用し、過去1年以内に1回以上の国内旅行をしたことがある1030名に実施した。