トラベルコマースプラットフォームを提供するトラベルポートはこのほど、データ通信やテクノロジー関連に特化した投資会社、サイリス・キャピタル・グループおよびエバーグリーン・コースト・キャピタル系列会社による買収提案に合意した。買収額は、全額キャッシュで44億ドル(約4840億円)となる見込み。エバーグリーン社は、年金基金や政府系出資ファンドなどに投資するエリオット・マネジメント社の関連企業。
サイリスとエバーグリーンは、トラベルポートの発行済の普通株式すべてを一株当たり15.75ドルで買い取る方針を明らかにしている。買収完了は、株主総会や当局からの承認手続きを経て、2019年第二四半期を予定。これに伴い、トラベルポートは非上場企業となる。本社は引き続き、英国のラングレーに置く計画。
トラベルポートのダグ・スティーンランド会長は「取締役会は、今回の提案に全員一致で賛成した。世界の旅行産業が変革の真っただ中にある今、トラベルポートが引き続き、現在のポジションを維持し、さらに成長するために最善の道を選んだ」とコメント。
また同社のゴードン・ウィルソン社長兼最高経営責任者(CEO)は「サイリスとエバーグリーンは、どちらもテクノロジー・プラットフォーム投資のスペシャリスト。今回の合意に至るまでの協議においても、両社の専門的な知見、顧客や従業員、パートナー企業に対する深いコミットメントに感銘を受けた」とし、「我々は、旅行業界におけるニーズの変化に対応できるプラットフォームを目指し、さらなる開発と投資に力を入れていく」と話した。
トラベルポートは航空関連GDSをはじめ、ホテル、レンタカーなど各種旅行サービスの流通システム、決済やマネジメント・ソリューションを提供している。世界180か国にスタッフ約4000人を抱える。
トラベルポートが明らかにした決算の推定値によると、2018年の純売上高は前年比4%増の25億3500万ドル(約2790億円)。また修正後純利益は、同6%減の1億7000万ドル(約187億円)から同2%増の1億8500万ドル(約203億円)を見込んでいる。