エイチ・アイ・エス(HIS)の2019年10月期第2四半期(2018年11月1日~2019年4月30日)の連結業績は、売上高が前年比10.7%増の3778億円、営業利益が17.2%増の89億円、経常利益が13.0%増の88億円で、四半期純利益は37.9%増の49億円となった。
売上高は過去最高で、本業の旅行事業と電力小売り事業が寄与。一方、旅行事業に次ぐ第2、第3の柱であるハウステンボスグループとホテル事業は、減収減益となった。
このうち、本業の旅行事業は日本発海外旅行が収益性の高い添乗員付ツアーの多い欧州需要とゴールデンウィーク需要の取り込みに成功。海外法人も新規連結の4社分が寄与した。ゴールデンウィーク期間に限ると、売上高は前年比110%増、送客数は59%増、単価は33%増になったという。
営業利益では、HIS国内市場で前年比10億円増(前年比13%増)、海外法人は16億円増(6%増)と拡大。ただし、訪日旅行事業では中国からの訪日客を扱うジャパンホリデートラベルが、訪日需要の減少に加え、競争激化による原価率の悪化を理由に、営業利益が9億円の減益となった。
通期の連結業績については、売上高が8%増の7860億円、営業利益が11%増の200億円、経常利益が8%増の210億円、当期純利益は前年同水準の110億円を目指す。全体では前期末の予想値と同じだが、セグメント別では修正が発生した。また、中間決算で売上高が過去最高となった旅行事業についても、ゴールデンウィークの特需後の反動が見られることから、慎重な推移を予想している。
代表取締役社長兼会長の澤田秀雄氏は今後の事業展開について、メインの旅行事業を「引き続き2ケタ成長をさせていく」と、今後も大きく力を入れる方針を説明。また、ホテル事業と九州産交グループについては、新規ホテルの開業(2018年10月~2023年まで自社運営で15軒)や、9月にオープンする熊本市の桜町再開発事業の稼働など、今後に大きな増収が期待できることを強調した。
安定的な収益確保を見込んで参入した新規事業のエネルギー事業については、今期すでに黒字転化し、「来年には(利益額を)さらに50~70億円伸ばせる」と、大きな自信を示した。発電所も建設しているが、電力小売りがメインで、2019年4月現在で契約電力数は全国約92万3400kwになったという。
減収減益となったハウステンボスグループについては、その要因を入場者数の減少として上で、「大きなイベントをすればまだまだ伸びる。ネタ切れとは言わないが、そういう感じにもなってきたので、新社長に変わって着々と準備を進めている」と、新たな展開に向けて動き始めていることを説明。ハウステンボスの2~3年内の上場計画や、4~5年後の開業を期待する長崎でのカジノ計画にも触れ、今後の可能性を強調した。
このほか、3月に銀行代理業の許可を取得し、ファイナンス、保険、銀行代理業で構成する金融事業も強化。銀行代理業は将来、銀行業への展開も視野に入れている。さらにロボット事業や食品工場、宇宙事業、モビリティ事業などもチャレンジ領域とし、3~5年後の事業化を見据えた展開を行なっていく。
2019年10月期第2四半期・セグメント別実績
旅行事業
- 売上高3368億円(11%増)、営業利益62.0億円(47%増)
売上内訳:海外旅行2209億円(13%増)、国内旅行295億円(4%増)、訪日旅行146億円(11%増)、海外法人718億円(6%増)
ハウステンボスグループ
- 売上高136.8億円(9%減)、営業利益26.8億円(29%減)
ホテル事業
- 売上高62.0億円(1%減)、営業利益4.6億円(34%減)、EBITDA10.4億円(25%減)
九州産交グループ
- 売上高111.5億円(2%増)、営業利益2.9億円(15%減)
エネルギー事業
- 売上高92.8億円(78%増)、営業利益3.6億円(前期は3.7億円の損失)