日本政策金融公庫の調査によると、ホテル・旅館業のキャッシュレス対応は83.6%と8割を超え、2019年10月からの消費税増税を契機に、新たに導入する企業も1割となることがわかった。生活衛生関係営業企業全体でのキャッシュレス対応率は約4割で、ホテル・旅館業は1人あたりの消費額が高いこともあって導入が進んでいる様子がうかがえる。
ホテル・旅館業の決済手段別対応状況は、クレジットカードのみが52.3%、クレジットカード・スマートフォンアプリが18.3%、クレジットカード・電子マネー・スマホアプリが12.4%、スマホアプリのみが6.5%など。
消費税導入を機とした導入方針は「新たに導入する」が12.6%、「さらに拡充する(決済手段を増やす等)」は31.1%で、合わせて4割に上った。導入・拡充の理由については、「利用客からの需要がある」が82.5%と最も多く、「新規客の開拓が見込める」(43.8%)、「売上の増加が見込める」(33.8%)という声も多かった。
その一方で、導入しない企業の理由は「決済手数料等の経費負担の増加」が67.6%とトップで、「新たな機器の導入に抵抗がある」が52.9%で続いた。「利用客からの需要がない」が全体の49%に比べ20.6%と圧倒的に低く、ホテル・旅館業では需要はあるものの、経費負担や新機器の導入に抵抗を感じている企業があることも浮き彫りになった。
調査は2019年6月中旬に訪問面接で実施。飲食業、理容・美容業など生活衛生関係営業3142企業から回答があり、このうちホテル・旅館業は183企業だった。