ソフトバンクグループ傘下でヤフーの親会社ZホールディングスとLINEは2019年11月18日、経営統合の合意を正式発表した。それぞれ同日開催の取締役会で決議したもので、2019年12月内に最終契約を締結する予定だ。同日、Zホールディングスの川邊健太郎CEOとLINE出澤剛CEOが都内で記者会見を実施し、統合の背景がGAFAをはじめとした巨大なグローバル企業との競争激化による危機感であることを明かした。
※画像は11月18日の会見の様子(LINEによる公開動画より)。左がZホールディングス代表取締役社長CEO 川邊健太郎氏、右がLINE代表取締役社長CEO出澤剛氏。
両社は今回の統合を通じ、経営資源の集約や、それぞれの事業領域の強化、新事業分野への成長投資を実施。最終目的は、日本をはじめアジアや世界を視野に置いた「AIテックカンパニーになること」としている。Zホールディングスの川邉CEOは、「GAFAの最強の脅威はユーザーに支持されていること」と話し、今後、両者の強みを生かした研究開発力などでユーザーに支持される「国産AIを選択肢として提供していきたい」考え。さらに、出澤剛CEOは、日本市場で特有のサービスを磨き「日本を起点にアジアにも最高のユーザー体験を提供したい」と話し、「GAFAの第3極となっていきたい」と意欲を示した。
今後、経営統合実現の一環として、ソフトバンクとLINEの親会社ネイバー(NAVER)は、LINEの非公開化を目的とする共同公開買付け(TOB)を実施。LINEの普通株式と新株予約権、新株予約権付社債のすべてを取得する意向を表明。組織面では、ネイバーとソフトバンクがそれぞれ50%の議決権を持つLINEの承継会社を新たに設立。Zホールディングスの完全子会社となる計画としている。
なお、Zホールディングスとヤフーの顧客基盤は現在、平均月間利用者数6743万人、アプリ合算MAU1.4億人。一方のLINEの顧客基盤は国内月間アクティブユーザー数8200万人、同海外ユーザー数1.04億人となっている。大規模基盤をもつ両社が統合することで、相互のサービスが連携され、相互送客によるユーザー基盤の最大化につながることが期待される。
両社によると統合の実現までは、約1年ほどかかる見込み。それまでは、別会社・別サービスとして競合関係を維持していくという。