2019年11月にフロリダで開催されたフォーカスライト・カンファレンスには、グーグルのエンジニアリング担当VPのオリバー・ヘックマン氏も登壇し、機械学習についての講演をおこなった。ヘックマン氏は、医療で使われている機械学習の例を挙げながら、旅行業界での活用法、特に価格、カスタマーサービス、オンラインマーケティングについて語った。
※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
ヘックマン氏は、機械学習が医療分野で大きな成果を挙げている例を紹介。肺がんの検査について、過去4万5000件のスキャン事例の機械学習と6人放射線医師との結果を比較したところ、機械学習の方が5%も多くの肺がんを発見し、さらに11%もの誤診を見つけたという。「すでに機械学習は人の命を救っている」とヘックマン氏は強調する。
また、ヘックマン氏はグーグルの言語認識についても言及。これまで何十億という英文のウェブドキュメントや数多くの本も学習させてきた結果、発話パターン、文章構造、文法、単数形/複数形など言語構造を学習し、深遠な「神経ネットワーク」を構築しているという。英語以外の言語でもこのイノベーションが進んでいる。
この機械学習は、旅行業界では価格予測、カスタマーサービス、オンラインマーケティングの分野で重要さを増している。価格予想では今夏、グーグルは過去の航空券価格情報を機会学習させたグーグルフライトサーチで、最低価格でなければ、返金するという価格保証プロモーションを3週間実施した。その結果は「極めて素晴らしいもので、我々は自信を深めた」とヘックマン氏。その後、追加予約も入ったという。
カスタマーサービスについては、「コールセンターは機械学習にとって最適な場所で、自然な会話や言語理解を学習させることができる」とヘックマン氏。自然言語の構造だけでなく、消費者の意向や感情までも学習するという。そのうえで、「コールセンターはカスタマーサービスの最前線。その蓄積したデータは旅行会社にとって貴重なものになる」と話す。例えば、機会学習を活用することで、旅行会社はスポーツ好きのカスマターに対して、事前に試合日や試合開始時間などを知らせることが可能。「こうすれば、顧客満足度が上がるだけでなく、旅行会社の仕事の効率化につながる」と強調した。
オンラインマーケティングでは、機械学習は主に広告戦略で重要なツールになっている。機械学習の洞察によって、広告主は広告を出すべき場所を把握することが可能。それだけではなく、広告主の代わりに、自動的にその最適な広告展開もしてくれる。ヘックマン氏は「グーグルは、さまざまな業種、さまざまな地域向けに、我々のパートナーのために、広告出稿技術の向上にこれからも取り組んでいく」と付け加えた。
オリバー・ヘックマン氏の講演は以下の動画で閲覧できる。
Tech Talk: Google - The Phocuswright Conference(Youtube:約17分)
※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:VIDEO: Google on machine learning having an impact on online travel
著者:リンダ・フォックス氏