日本政府観光局(JNTO)は、このほどメディアブリーフィングを実施、新型コロナウイルスが拡大するなかで、現在行っている業務や今後の活動方針を説明した。
世界で感染拡大が続く中で、現在、JNTOでは訪日客誘致のプロモーションを止めているところ。JNTO理事の金子正志氏は「観光の話ができる状況でない」と話し、今できる将来に向けた準備行動を進めていることを説明した。まずは感染拡大を阻止して安心・安全の回復が重要であるという認識。また、国内観光の再活性化や復興が最優先の課題であるとの考えで、そのために政府観光局として国内の観光関係者の連携に貢献していく。
終息後の訪日客リカバリーに向けては、「着々と準備を進めている(金子理事)」という。感染拡大が終息した時には、観光客の取り込みは世界共通の課題となり、競争激化が予測される。金子理事は、終息時にタイミングを逃さず、早期に活動を再開できるような体制と準備を整えていることを強調。さらに、過去に例を見ない観光の危機にあるとして、これまでも行ってきた航空会社や旅行会社など観光事業者との連携をさらに深めて進化させていく考えだ。そして、終息時には安心して観光することができる日本の状況を世界にいち早く発信していくと意欲を示した。
また、24日夜には、東京五輪の1年延期が決まったところ。オリンピックに向けて準備を進めてきたプロモーションについては、先送りするものと予定通り行うものを選別し、訪日客の取り込みのためプロモーションを新たに組み上げていく。
3月のインバウンド客数は「さらに厳しい数字」に
2020年2月の訪日客数は、東日本大震災発生の翌月に次ぐ下げ幅の6割減となった。金子理事は、3月の訪日客数について「2月よりも厳しい数字が出る可能性が大きい」と見込む。また、東京オリンピックの延期が訪日客数に与える影響については、感染拡大の終息が見えていない状況の中で、まだ見えていない段階とした。
こうした中、金子理事は政府目標として掲げてきた「2020年に訪日外国人客数4000万人」について、「常に目指し続ける。そのためにできることはすべてやっていく」と強調した。