公益サービス向けのデジタルプラットフォームを開発する非営利団体「コモンズ・プロジェクト財団」と世界経済フォーラムは、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として開発した「コモンパス(Common Pass)」について、初めて大西洋路線での実証を実施した。
実証が行われたのはロンドン・ヒースロー空港発、米ニューアーク空港行きのユナイテッド航空15便。ボランティアとして数人の旅行者が、出発前に新型コロナウイルス検査を受け、その結果を携帯電話にインストールしたコモンパスにアップロード。目的地での入国条件の証明に使用された。
このアプリを利用すれば、各国は、検査結果を含めた個人の基本的な健康データに加えて、それぞれの国で定める健康診断要件を実装することが可能だ。
現在、入国に必要な陰性証明の要件は、国によって異なり、指定検査機関も統一されていない、また、紙面での対応が多く、外国語に対応していないところも多い。コモンパスは、標準化した検査証明フォーマットを提供することで、旅行者と各国政府の信頼を築くものとして期待されている。
今回の実証では、ニューアーク空港で米税関国境警備局と米疾病予防管理センター(CDC)による視察も行われた。
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のグロリア・ゲバラCEOは、コモン・パスについて、「コモン・パスは、深刻な状態にある世界の旅行および観光産業を復活させるための鍵になる」とコメントしている。
今回の大西洋路線の実証に先駆けて、10月6日には香港発シンガポール行きのキャセイパシフィック航空の便でも行われている。