今年のG7(主要7カ国)首脳会議で議長国を務める英国は、G7会議の場を活用して、世界的な旅行再開に向けて国際的なワクチンパスポート体制の構築を呼びかける考えだ。ボリス・ジョンソン首相は当初、これまでワクチンパスポートには複雑な倫理的問題があるとして、この計画には消極的だった。しかし、現在、英国政府はワクチン接種を受けた人が自由に旅行ができる環境を整えるため、「COVIDステータス証明」の整備を進めているところ。
ワクチンパスポートとは、旅行者が新型コロナウイルス検査を受けた際の結果や、ワクチン接種記録で証明するもの。渡航時は、航空会社のスタッフや国境管理の係官がこれをチェックし、その人の感染リスクや周囲にウイルスを伝播するリスクが低いことを確認するという流れが想定されている。
AP通信によると、英国政府はワクチンパスポートに向けては「乗客と運輸業界双方にとって一貫性した枠組みが必要。システムの導入でも公正であることが求められ、ワクチンがまだ提供されていない、あるいはワクチン接種がまだ終わっていない人に対して不当な不利益を与えないようにするべきだ」と主張している。
また、英国政府は、旅行だけでなく、職場や大規模イベント会場でどのようにワクチン接種証明が活用できるか模索しているところだという。現在、何百万人の国民が国民健康サービスのひとつとして使用している追跡アプリを活用する案が持ち上がっている。
一方で、ジョンソン首相は「何らかの理由でワクチンを接種できない人々を差別してはならない。全員がワクチンを接種すべきだと思うが、医学的に接種を受けられない人、個人的な信条で受けない人もいる」と述べている。