三重県・伊勢志摩の真珠販売会社が高級リゾートを開業へ、元養殖場を転用、地域経済や環境との循環型モデルで

三重県で真珠の生産販売を行う覚田真珠社は2023年4月、伊勢志摩国立公園内に宿泊施設「COVA（コーバ）」を開業する。　※写真は建設地となる真珠養殖場のあった英虞湾の入り江・伴田浦（提供：覚田真珠）

同社が1960年代まで使用していた英虞湾の真珠養殖場を転用し、ヴィラタイプの客室やダイニング、サウナ・スパ、体験施設などを建設。一部、現地に残る加工場などを改装して使用する。約70平米の客室には、ベッドとリビングスペースにプライベートサウナ、または五右衛門風呂を設置。カヤックやクルージング、農園体験など、海と陸のアクティビティも提供する。岬と入江が折り重なる「里海」の自然や文化に由来する本物の体験で、宿泊客が癒しと活力が得られるような、ハイエンドのリトリート施設を目指す。

また、COVAは、地域の地場産業や環境に還元する循環型モデルでのリゾート運営を計画している。

地域の農林水産事業者や住民と連携し、約4万平米の敷地内には果樹園や畑、炭焼き小屋を設置。COVAが面する入り江での養殖場を増やし、真珠養殖も復活させる。こうした地域に根付く産業や文化について、当該事業者や地域住民によるワークショップも開催する予定。里海の産業をリゾート内で再興し、里海の文化継承と環境保全にも繋げる考えだ。

里海は、自然と人のバランスの上にその環境が成立しているが、近年の人口減が海の豊かさや健全な森の育成にも影響していた。COVAを通して地域活性をすることで、その改善も図る。

宿泊料金は宿泊と食事、アクティビティを含め、2名1室利用時は1人1泊11万円、4名1室利用時は1人1泊9万円を予定。世界の高級リゾート「アマン」が進出するなど、日本の隠れ家的高級リゾートとしての認知が上昇している同エリアで、一味違う新形態の高級リゾートとして打って出る。

開業に向け、建設が進む。宿泊棟やレストラン棟には一部、以前の作業場だった建物を改装して使用する