日本観光振興協会(日観振)理事長の最明仁氏が、2024年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
最明氏は、ポストコロナを迎えても、日本の観光は人手不足など、多くの課題に直面していることを指摘。観光産業だけではなく、行政や地域住民が対話して地域資源を持続可能に活用する観光マネジメント力の向上が不可欠であると説明し、各種支援策を通して、旅行者と受け入れ地域の双方が喜ぶ観光の実現に努める方針を示した。
観光の質の向上、観光産業の収益力・生産性向上、交流人口の拡大を通じて、観光立国推進基本計画で掲げる2025年の国内旅行消費額22兆円、一人あたりの訪日外国人旅行消費額単価20万円の目標実現に努め、観光のプレゼンスの確立と、観光の発展に邁進すると述べている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
新年のご挨拶
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
2022年は国内外から多くの旅行者をお迎えしたことにより、各地の観光地は本格的に賑わいを取り戻しました。ほっと胸をなでおろす一方で、観光の現場を担う人材の不足、ごく一部の地域では需要に供給が追い付かないケースが出てくるなど、日本の観光はポストコロナを迎えてなお、多くの課題に直面していることは皆様もご存知の通りです。
これらの課題は、短期に解決できるものばかりではありません。観光産業だけでなく、行政や地域住民が互いにしっかりとコミュニケーションをとり、地域の資源を持続可能に上手に活用する地域の観光マネジメント力の向上がより強く求められています。
日本観光振興協会では、世界のDMOが活用するDestination-NEXTの導入支援のモデル事業などを通じて、地域の観光マネジメント能力向上を目指しております。また、全国観光DMP(Data Management Platformの略)やデジタル観光統計オープンデータを構築し、地域単独ではコストが高くなり、他との互換性が損なわれるマーケティングデータを都道府県と協力し標準化したもので集積・提供を行うとともに、DX推進のためのアドバイザー派遣、人材の育成などを進めて参ります。これらの施策を組み合わせることにより、旅行の平準化や新しい価値の創造、旅行者と迎え入れる地域双方に喜ばれる観光の実現に努めます。
大阪・関西万博の開催がいよいよ来年4月に迫る中、昨年10月には「ツーリズムEXPOジャパン」を大阪市で開催しました。今後も全国での盛り上げ、機運醸成に努めてまいります。今年の3月には北陸新幹線の敦賀延伸開業も予定されており、地域の観光魅力の発信に向けた機会にも恵まれています。
当協会は国とともに、観光の質の向上、観光産業の収益力・生産性向上、交流人口の拡大を通じて、観光立国推進基本計画で掲げる2025年の国内旅行消費額22兆円、一人あたりの訪日外国人旅行消費額単価20万円の目標実現に努めます。また、経済活性化に向けた観光の役割と観光の魅力を国内外に力強く発信することで観光のプレゼンスを確固たるものにし、観光の発展に邁進する一年にいたします。
最後に、皆様の今年一年のご多幸をご祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
公益社団法人日本観光振興協会
理事長 最明仁