国際線の回復が遅れる中部国際空港、国際線の座席は2019年比で8割、航空データ分析のOAGのデータから読み解く

航空データ分析会社OAGは、中部国際空港(セントレア)の現状を同社データからとりまとめた。セントレアの立ち位置から路線回復の状況まで、その内容をレポートする。

OAGでは、セントレアを国内線と地域国際線のネットワークを持つ地域空港に分類。大陸間国際線の便数は少なく、主に短距離および地域内を中心に路線を展開している。アジア太平洋地域では、日本の福岡、札幌(新千歳)、沖縄(那覇)など、インドのベンガルールやハイデラバード、韓国のソウル(金浦)などが、このカテゴリーに分類される。

セントレアの立ち位置

日本の中央部に位置するセントレアは、2005年に24時間運用空港として開港した。中部地域には、トヨタ、三菱重工、スズキ、ブラザー、ヤマハなど日本を代表する製造業があることから、ビジネス需要にも対応。また、レジャー市場では、大阪や京都へのアクセスがよいほか、北陸地方につながる「昇龍道」ルートのゲートウェイにもなっている。

安定したビジネス需要は、航空会社にとって高収益の機会になっている。また、愛知県や近隣県に居住する外国人の旅行需要も高い。

フルサービスキャリア(FSC)とLCC双方の路線を展開しており、LCC専用ターミナルも有し、他地域への乗り継ぎ需要にも応えている。

路線分析

2023年2月~2024年1月までの1年間、セントレアの旅客数は前年同期比66%増の約873万人。貨物取扱量は同1.5%増の約13万トン。

2024年5月の提供座席数は、2019年1月時点と比較して85%までしか回復していない。具体的には、国内線は同91%に対して、国際線は同78%にとどまっている。FSC/LCC別では、FSCが2019年比31%減の約484万席、LCCが同17%減の約181万席となっている。

提供座席数の推移(OAG資料から)セントレアの路線ネットワークを見ると、コロナ前2019年は国内20都市に展開。国際線は、中国が23都市と最も多く、韓国3都市、台湾2都市などが続き、欧米などの長距離路線は、米国2都市、フィンランド1都市、ドイツ1都市にとどまっていた。

2024年では、国内線は21都市。国際線は、韓国2都市、台湾2都市とコロナ前レベルに回復しているものの、中国は7都市に大幅に減少したまま。総就航都市数も2019年の65都市から43都市に減っている。

中部地域の経済力は、工業製品の輸出量、高い雇用率、域内人口などからも明らかだ。愛知県は2021年、新たに2本の滑走路を整備する計画を発表した。これにより、年間発着量を現在の年間15万回から25万回に増加させる。

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