デンマークのコペンハーゲンでは、観光客に「気候に優しい体験」に対して報酬を供与する「CopenPay」と呼ばれる実証プロジェクトが4週間にわたっておこなわれている。例えば、水路のゴミ拾い、自転車での観光、庭園でのボランティア活動などが推奨されている。
このプログラムを運営するワンダフル・コペンハーゲン(観光局)のミッケル アーロ ハンセンCEOは、「観光を環境負荷から前向きな変化の原動力に変えていく必要がある」とコメントしている。
このプロジェクトには20種類を超えるアトラクションが参加している。その中の一つ、環境保護非営利団体「GreenKayak」は、ボランティア観光客向けに緑色のカヤックに乗ってコペンハーゲンの水路を漕ぎ、水上に浮遊するゴミを拾うツアーを提供。報酬として、2時間のツアーを無料にする。
また、オーエンス・ハーヴェの都市庭園では、観光客は花壇の手入れ、コリアンダーの収穫、鶏の餌やりを楽しんだ後、無料の昼食を楽しめる。CO2排出量削減のため、タクシーやレンタカーではなく、自転車や公共交通機関で国立博物館まで行けば、アイスクリームが無料でもらえる。デンマーク国立美術館「SMK」では、プラスチック廃棄物をクラゲの彫刻に変える方法を教えるワークショップを提供している。
この実証プロジェクトは、7月15日から8月11日にかけて実施。2023年のコペンハーゲンの観光客宿泊数は1200万泊でオーバーツーリズムに苦悩するバルセロナやベネチアほどではないが、それなりに多くの観光客が訪れている。夏の繁忙期の週末には、コペンハーゲンの歴史的なニューハウン港エリアには観光客が押し寄せ、狭い水路を観光フェリーが行き交う。
このプログラムに対する観光客の反応は様々だ。ある観光客は、滞在が1日だけだったため、参加を見送った。また、旅行中は環境対策よりも利便性を考えると話す観光客もいる。
コペンハーゲン大学の研究者ベリット・シャーロット・カーエ氏は「CopenPayの仕組みは興味深い」としながらも、「マスツーリズムがもたらす環境問題に真剣に対処するには、観光当局は主因である交通機関に目を向けなければならない」と主張する。
※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。