観光庁ら、海外旅行促進へ「もっと!海外へ 宣言」、日本旅行業協会はパスポート新規取得キャンペーン

観光庁は、アウトバウンド(日本人の海外旅行)促進に向けて、外務省、日本旅行業協会(JATA)と共同で「もっと!海外へ 宣言」を発出した。これは、2023年5月に発出した「今こそ海外! 宣言」に続くもの。2025年3月24日から「2025年旅券」の導入が始まり、4月13日からは海外パビリオンが多く出展する大阪・関西万博も開幕することから、官民で海外旅行の機運醸成を進めていく。

観光庁の祓川直也長官は、記者会見でパスポート保有率が17%程度にとどまっている現状について触れ、「海外旅行の予定がなければ、パスポートは取得しない。パスポート取得率を上げるというよりも、まずは、海外旅行に行ってもらう機運を高めていく」と話し、今回の取り組みについて説明した。この取り組みでの目標については明言を避けたが、「まずは、コロナ前の2000万人に近づけていく」と話した。なお、昨年、2024年の日本人海外旅行者数は約1300万人だった。

「もっと!海外へ 宣言」では、新しいパスポートの普及、海外旅行促進キャンペーン、若者の国際交流の促進、現地の安全に関する情報提供、関係者と連携したプロモーションの5つの柱で進めていく。

このうち、新しいパスポートについては、「2025年旅券」として、偽造・変造対策を大幅に強化。顔写真ページがプラスチック基材となり、レーザーで印字・印画する方法に変更、国立印刷局で集中して作成する。また、すべての都道府県でオンライン申請が可能になったほか、オンライン申請では戸籍謄本の原本を提出する必要がなくなった。オンライン申請は、10年用旅券が1万5900円(窓口申請は1万6300円)、5年用旅券が1万900円(窓口申請は1万1300円)。

ただ、国内では申請から交付までの期間が、現状の1週間程度から2週間程度に伸びることから、外務省では早めの申請を呼びかけている。

外務省領事局の岩本桂一局長は、「アウトバウンドとインバウンドとの双方向交流を通じて、国民の外交への関心が高まることを期待している。海外での経験は、経済面でも日本の国際競争力が高まることにつながる」とコメントした。

(左から)JATA髙橋会長、観光庁祓川長官、外務省岩本局長、外務省旅券キャラクター「パスポくん」。JATA会員各社がパスポート新規取得キャンペーン

これに合わせて、JATAは会員旅行会社、航空会社、空港会社などとの連携で「もっと!海外へ 宣言」プロジェクトを進めていく。

JATAの髙橋広行会長は、「海外の観光情報はオンラインで容易に触れることができるが、それだけにリアルで本物の実感価値が失われている。その国の自然、歴史、文化、あるいは人々との交流などを実際に五感で感じて、感動が得られる海外旅行は、かけがいのない貴重な機会になる」と話し、特に若者の海外旅行促進に取り組んでいく考えを示した。

そのため、このプロジェクトでは、俳優でアーティストの岩田剛典さんをアンバサダーに迎え、プロモーションビデオの作成やSNSでの発信に取り組む。

プロジェクトの取り組みとしては、まず第一弾として「新パスポート取得サポートキャンペーン」を展開する。3月24日時点でJATA会員36社と空港6社が参画。パスポート新規取得について、キャッシュバック、割引、ポイント付与など、それぞれ独自のキャンペーンを用意する。JATAによると、現在のところ、キャンペーン枠は計2万5000人分ほどで、その総額は約2億円。平均1人1万円ほどになるという。

また、今後、夏から来年に向けて、旅行会社はキャンペーン商品、航空会社は割引運賃などを展開する予定。3月24日にオープンした専用サイトでは、各観光局や大使館からの最新の観光情報を掲載していく。

このほか、海外旅行の安心・安全サポートとして、4月1日から外務省の「たびレジ」との連携も始める。これは、旅行会社がツアー参加者と「たびレジ」との連携をサポートするもの。今後、参画旅行会社の拡大を進めていく。

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