
2024年は、北東アジア圏の旅行市場で最大の影響力を持つ中国が、その存在感を改めて示した年だった。中国が国境を再オープンしたのは2023年だが、その後12か月間は、緩慢な動きとなっていた。
中国市場の本格的な復活に伴い、その訪問客数が大幅に増加したのは韓国、香港、マカオ。これに対し、台湾への恩恵は平均以下だった。2024年、中国、韓国、日本の3か国は、相互へのインバウンド旅行者数を2030年までに4000万人とする目標を設定。さらに11月、中国は「国境をまたぐ」旅行に関する規制を簡略化し、中国本土と香港、マカオ間の国境審査にかかる所要時間を短縮した。
こうしたなか、航空各社は、運休していた同地域の路線を再開し、新しい路線も開設している。ホテルの業績は2019年以降で最高レベルだが、レートへの値下げ圧力はまだ残っている。鉄道やレンタカー予約が好調である背景には、インバウンド旅行者も国内旅行者も、より体験を重視するようになり、旅の内容が多様化していることがある。
とはいえ、前述した4市場(韓国、香港、マカオ、台湾)には、依然として警戒感も残っている。過去10年間、旅行・観光需要は爆発的に拡大しており、旅行に関する各種指標のベンチマークはやはり2019年の実績。特に、各政府が最も重視する年間訪問客数では、この傾向が顕著だ。
ただし香港は、街中での抗議活動で麻痺状態だった2019年よりも、2018年の数字が参照されている。旅行産業と航空産業による経済の乗数効果があるため、引き続き、各政府が先頭に立ち、香港とマカオではインバウンド観光客誘致、韓国と台湾ではインバウンドおよび国内旅行需要の拡大を目指して舵を取るだろう。
一方、全体的な回復ペースを見ると、2024年は鈍化したことが様々なエビデンスから明らかになっている。続く2025年は、アジア地域およびグローバルな地経学的問題の数々が懸念材料となっている。
歴史を振り返った時、2023年は統計的に異常値だったと言われるようになるかもしれない。
北東アジア市場の成長は正常なペースに
フォーカスライトによる最新調査「Northeast Asia Travel Market Report 2023-2027(北東アジア旅行市場レポート2023~2027年)」によると、2023年、コロナ禍を脱した北東アジア市場は力強い成長に転じ、総予約高は116%増の446億ドル(約6兆6900億円)に達した。これは例外的な状況で、2024年の総予約高については、15%増の513億ドル(約7兆6950億円)と正常な成長ペースが見込まれている。その後、成長ペースは落ち着きを取り戻し、2027年は603億ドル(約9兆450億円)と予測している。
北東アジア市場における旅行予約総高(米ドル)と2019~2027年の対前年比(%):フォーカスライトより
北東アジア市場では、旅行の予約といえばオンライン経由だ。新しい需要、人口構成、戦略的ダイナミクスは、これから数十年間でさらに変化し、旅行の姿も変わっていくだろう。スランプからの回復期が終わった後、2027年までは全体的に予約が拡大基調となる段階的な成長期となる。
Eコマースや旅行アプリ、ライフスタイル・サービスに対する意識は変化しており、逆戻りすることはない。新しいスマート・テックやAIによる旅行予約ツールの登場により、こうした傾向はむしろ強まっている。国境が再オープンすると、オンライン予約総額の伸びも再び勢いを取り戻し、2023年実績は213億ドル(約3兆1950億円)。2019年の156億ドル(約2兆3400億円)を軽々と越えてみせた。
さらに2026年には、オンライン予約比率が全体の57%に達し、総額300億ドル(約4兆5000億円)の突破が予想されている。北東アジア地域といえば、その特性として、日常生活を便利にするテクノロジーが急速に広まることは周知の通りだ。AI革命が旅行予約におよぼすインパクトの威力次第で、こうした予測値をはるかに超える結果もありそうだ。
詳細レポートは以下から入手できる。
Northeast Asia Travel Market Report 2023-2027
※ドル円換算は1ドル150円でトラベルボイス編集部が算出
※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営する「フォーカスライト(PhocusWright)」から届いた英文記事を、同社との正式提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:Northeast Asia online travel bookings to break $30B by 2026 By Phocuswright Research