公益社団法人日本観光振興協会は、第7回「産業観光まちづくり大賞」の受賞団体を決定し、金賞には東京都大田区のおおたオープンファクトリー実行委員会が受賞した。
産業観光まちづくり大賞は、観光による地域振興の新しい手法として注目されている「産業観光(産業遺産や、現在稼働している工場・工房などを活用した観光)」による観光まちづくりを実践し、他の地域の模範となる優れた事例を表彰する制度。平成 19 年度より創設された。産業観光に取り組む地方自治体、観光協会、商工会議所、NPO、商店街、企業等を対象に、幅広く募集を行い、受入側と訪問側に双方のメリットがあるビジネスモデルになっているか、またその継続性があるかなどを主な評価の視点として、審査が行われた。
大田区は、「おおたクリエイティブタウン研究会」(大田観光協会+3大学)を組織。モノづくり、あるいはモノづくりのまち再生、活性化に対して、a)新たな創造産業の育成、b)モノづくりの裾野の拡大、c)魅力ある創造空間の再生という3つの戦略から構成される「大田クリエイティブタウン構想」を掲げ、これらの目標を実現するための一つの手段として「観光」の力に注目してきた。
大田区における「産業観光」は、大田のモノづくり及びモノづくりのまちが抱える問題点の解決、また工場側にとってのメリットをいかに見出していくか、の2点に留意し、新たな「モノづくり観光」の構築を目指した。「おおたオープンファクトリー」は、この「モノづくり観光」の中核をなすプロジェクトであり、特定エリアにおいて、期間限定で複数の工場見学と体験プログラム、さらにはそれを巡るまち歩きツアー等によって、モノづくり及びモノづくりのまちを地域内外にアピールするイベントとなっている。
評価のポイントとしては、 経営環境の厳しいモノづくり現場の再生や活性化を図るため産業観光に取り組んだこと、優れて体系的な仕組みを構築していること、イベント継続へのステップも充分に進められていることから地域連携のモデルケースとなること、羽田空港の国際化に伴い、「おおたオープンファクトリー」を外国人観光客にも提供することで更なる国際化が期待されることなどが挙げられている。
その他の受賞団体は以下のとおり。
- 金賞: おおたオープンファクトリー実行委員会(東京都)
- 銀賞: 室蘭観光推進連絡会議(北海道)/ 宇部・美祢・山陽小野田産業観光推進協議会(山口県)
- 特別賞: 秋田内陸縦貫鉄道株式会社・北秋田市(秋田県)/静岡商工会議所(静岡県)